奈井江 夏の日
奈井江へ
道の駅
喫茶で一休み
男の子の胸には
初心者マークのバッジ
働き始めたばかりなのね
慣れない手つきで
テーブルを片付けてくれた
ありがとう
はにかんだ彼の笑顔に
なんだか
涙が出ちゃう
緑が
ひろがる
風が遊んでる
急いで生きてきたなぁ
あっ
という間だったなぁ
もっともっと
丁寧に扱えば良かったなぁ
わたしのことを
道の駅の市場で
野菜を買った
形の悪いきゅうり
傷のあるトマト
小さなゴーヤ
見た目は良くなくても
一生懸命育ってくれたんだね
スーパーに並ばなくても
ここで買ってくれるひとを
待っている
そんな野菜たちを
カゴに入れて
わたしも
そんなふうに
ちょっと曲がってても
ちょっといびつでも
わたしのまんまで
生きようと思った
誰が見てても
見てなくても
お日様は
わたしのことも
照らしてる
奈井江
夏の日
暑くて
そして
心が 暖かかった 日