比べる ベル
リンリン
比べる ベルが鳴る
旅に行きたくて
毎月
少しずつ節約して
バッグが欲しいけど
我慢して
あのワンピースが
似合うのは
わかってるけど
バーゲンで
違うワンピースを買って
でも
このワンピースも
けっこう似合うからいいよね?
って満足して
いつも
朝ごはんに買うパンを
やめて
ご飯を炊いて
小さなことだけど
あの旅が待ってるから
節約も楽しい
苦手だけれど
コツコツ コツコツ…
ある日
仲間で集まった
いろんな話で盛り上がった
いつ
わたしの旅の話をしようか
ワクワクした
その時
仲間のひとりが言った
秋に外国へ行くの
あの有名なホテルに
泊まるの
彼がお金を
全部出してくれるの
えーっ
いいなぁ
愛されてるんだね
羨ましい
みんなが
盛り上がるなかで
わたしは
黙った
リンリン
比べる ベルが 鳴る
わたしの幸せが
色褪せるのは
誰かと比べて
足りないものばかり
見つけた時
今まで
満たされていた
小さな部屋が
ちっぽけで
安物で
急に
帰りたくなくなる
でも
そこは
わたしが選んだ
わたしが落ち着く
大切な大切な
場所なのに
比べる ベルは
わたしの本音
どう?
わたしが一番
と
思っていた世界を
壊された時に鳴る
なんてチッチャイわたし
一番じゃなくても
わたしの世界を
他のひとがどんなに
恵まれていても
わたしの願いを
それだけを
見つけよう
見つめよう
比べる ベルは
もう 鳴らない
わたしの中に
ひたひたと
あたたかい気持ちが
満ちてくる
外国行くなんて
羨ましいなぁ
じつはね
わたしも旅に行くの
近くだけどね
いま節約中
えーっ
どこどこ?
わかるー
旅のために節約なら
頑張れるよね!!
何泊?
みんなが笑顔で
聞いてくれる
ほら
比べる ベルなんて
いらないんだ
わたしは
充分満たされていて
あなた達は
充分優しくて
自分の場所で
自分のままで
精一杯
咲いていく
ひとりに
ひとつ
必ず見つかる 幸せ