操縦席に座るのはわたし
ひとりでね
好きなことをする
お風呂にゆっくり入ったり
ミルクいっぱいのカフェオレ飲んだり
声張り上げて歌ったり
わたしはわたしに好きなことを
させてあげるの
操縦席に座るのはわたしだから
わたしの思う通りに
わたしの世界は創られる
誰かとね
一緒にいると
わたしはその人の顔色を伺うの
笑ってほしい
楽しんでほしい
心地好くいてほしいから
何が好きなのかな
その人に合わせて
その人を幸せにしたくて
その人を
操縦席に
座らせる
そんなの
おかしい
その人はその人の操縦席に座ればいい
その人の幸せはその人が創ればいい
わたしの操縦席は
わたしだけしか
座れない
座らせない
勇気はいるけれど
操縦席から降りちゃダメだよ
誰といても
どこにいても
操縦席にちゃんと座って
自分の心に聞いてあげよう
いま
わたしは
どうしたい?
心のナビに従って
深呼吸して
リラックスして
さぁ
飛ぼう
わたしだけの
行きたい世界が
待っている
明日はお休み なのに
明日はお休み
なのに
わたしご機嫌が悪い
あなたも疲れてるみたい
どこ行く?
なに食べる?
話し合ってみたけど
わたし
ご機嫌が
悪い
あなた
疲れてる
みたい
じゃなくて
疲れてる…
とりあえず帰って用意して
あなたからのラインを待ってみたけれど
やっぱり出かけたくない
お家にいたいなぁ
なんて考えていたら
あなたから
今日は眠いから明日ね
ってラインが来た
うんうん
だよね‼
わたしも今日はお家にいたくて
外でご飯食べたくなくて
良かった
ね
でもさ
もしも一緒に帰れたなら
こんな時でさえ一緒にいられるよね
あなたは疲れてて
わたしもご機嫌悪くて
あなたは眠って
わたしはテレビでお気にいりの映画見て
だけど一緒に暮らしてたら
ラインが既読にならなくて
苛立つ事はないんだ
メールが返って来なくても
不安になったりしないんだ
わたしはきっと
ねぇ
わたしはきっと
あなたと
いたいんだ
どんな時も
だあれもなれない 自分
もうすぐ春だから大掃除
引き出しの奥から
小さい頃の写真が出てきた
なんだか
わたしいつも怒ってる
笑顔になったのは高校生くらいから
それまでのわたし
ずっとずっと不機嫌な顔してる
多分
父が写してくれた写真だから
父の前では恥ずかしかったんだろうな
笑顔をつくること
高校生になったら
友達が写してくれるようになって
いつのまにか
父が写してくれる事はなくなったんだろうな
笑顔 ばっかり・・・
わたしは不機嫌な子供でした
ちょっとした事でイライラして
泣いたり怒ったりしてました
思った事を何でも言うので
ずいぶん友達にも嫌われました
目立つのが大好きだったので
人より先に手を上げて
なんでもやりたがり
でも
けっきょく最後まで出来なくて…
好きなものがコロコロ変わり
いつも落着きがなくて
いつも誰とも交われない
わたしはおかしい
少し大きくなった頃
自分のことを変えたいと思いました
いつも明るくて優しくて
みんなの真ん中でキラキラ
笑ってる女の子になりたかった
言いたい事は言わなくなりました
出来る事も手は上げなくなりました
わたしは
わたしではなく
好かれる誰かに
なりました
そして
こんなに年を重ねて
いま
わたしはわたしに戻ろうとしています
言いたい事を言うのは
最初はすごく恐かった
でも言ってみたら大丈夫でした
手を上げてやってみて
最後まで出来ないけれど
助けてくれる誰かがいました
不機嫌な顔をしてても
友達はわたしのそばにいてくれて
友達の不機嫌な顔も
わたしは気にならなくなりました
ね
そのまんまで良かったのです
何かにならなくても
良かったのです
不機嫌な顔していたわたしが
ご機嫌な顔を無理に作って
また不機嫌な顔に戻ったら
本当に優しく
笑えるように
なりました
不機嫌でもご機嫌でも
わたしはわたしのまま
あなたは
あなたのまま
他のだあれも
自分には
なれないのだから
もう逢えない あの子へ
昨日 夢を 見ました
夢の中で
あの子と息子が笑っていた
何がそんなにおかしいのかしら
ケラケラケラケラ
声を出して笑っていた
あれ?
あんた達 別れたんじゃなかったっけ?
わたしが聞くと
あの子微笑んで
別れましたけど
でも
こうして逢ってるんだよねー
そう言って息子の顔を見つめてる
息子が恥ずかしそうに頷いたところで
目が
覚めた
あぁ
久しぶりに見た
あの子の顔
去年まで週に一度は遊びに来ていた子
息子の部屋からは
いつもいつも二人の笑い声が
聞こえていたっけ
息子が会社を辞めて引きこもった時も
愛犬がお空に帰った時も
あの子はずっと息子のそばにいてくれた
わたしの他に
息子を愛してる人がいる
わたしの他に
息子をいたわってくれる人がいる
それがどんなに心強かったかしら
1月になったばかりの寒い夜
あの子いつものように
こんにちは
と言って遊びに来てくれた
それが
最後だった
その時
別れ話しに来たことを
息子から後で聞いた
息子の部屋からは
あの子が置いていたこまごましたものが
ぜんぶ
きれいに
なくなっていた
おかしいわね
週に一度は顔を見ていて
おみやげを渡したり
誕生日プレゼントもらったり
なんとなく
すっかり仲良くなったつもりでいたけど
息子と別れたら
わたし
あの子の連絡先も知らない
電話番号も
アドレスも
なんにも知らない
だから
多分
もう二度と逢えないの
逢えないから
えりちゃん
ありがとう
三年もわたしの息子を
支えてくれてありがとう
二人の未来は別々になっても
わたしはあなたを忘れない
いつまでも
その
少女のような笑顔のままで
幸せになってね
もしかしたら
わたしの娘になっていたかもしれない
もう二度と
逢えない
あの子へ
届きますように…
寂しいなぁ
許していけば虹が架かる
道を塞いでるおばさん達
急いでるわたしの前にむらがっていて
通れない
掻き分けるように前へ進むけど
誰も何にも気づかない
わたしなんて見えていないのね
そのまんまむらがって
お喋りを続けてる
通りすぎてから
ババア邪魔なんだよっ
って
ぽそっ
と
言った
胸が
スーッ
とした
いつからかな
怒っちゃいけない
悪口言っちゃいけない
いい人でいよう
汚い言葉はやめよう
そうやって閉じ込めてきた自分
でも
わたし
言いたかった
ババア邪魔なんだよっ
って
でもね言っちゃダメだと思ったし
思うことさえダメだと信じてたの
わたしの中に
そんな汚ならしいわたしを
存在させてはいけない…
いやいや
ちゃんと見ましょうよ
汚い自分も綺麗な自分も
わたしです
笑ってる自分も泣いてる自分も
大切な大切なわたしです
ババア邪魔なんだよっ
って言った後
クスッと笑っちゃった
きっとわたしもああやって
友達と道を塞いで話してて
通りすぎる誰かに
邪魔なんだよっ
って言われるおばさんなんだよね
なんだかみんなが愛しくなって
あなたが待つ交差点へ
駆け出した
寒いけど
もうすぐ
春
どんな気持ちも
許した時に
虹は 架かる
僕だけのメリークリスマス
久しぶりにライブに行ったの
ギターの上手な友達に誘われて
仲間たちが何人かで歌うから
もし良かったらおいで
雪がチラチラ降る中を
すべらないように一歩一歩踏みしめながら
あぁ
今年も終わっていくなぁ
今日はクリスマスイブイブ
明日サンタさんは
わたしに何を持ってきてくれるのかしら
そんな事を考えながら
ライブが開かれるバーに着いた
おおー
久しぶりーーっ
三年前にはよく会っていた人達が
集まっている
ごめんね
ずっと忙しかったの
ごめんね
なかなか来られなくて
謝りながら
暖かいバーで飲む冷たいビールと
みんなの変わらない笑顔に
ホッとした
わたしが自分だけに集中していた三年間
仲間はここに集まって
変わらずギターを弾いていたのだろう
何かになろうともがいていた
わたし
何にもなれなくていいから
表現しつづけてきた仲間たち
それでいいんだよね
何かにならなくていいんだよね
今
自分が
本当に歌いたい曲を
ただ奏でること
それ以上に
素敵なことなんてないんだ
見たことのない男の人がステージに上がった
まだ幼そうに見える笑顔に似合わない
大きな手がギターをつまびいた
メリークリスマス
メリークリスマス
メリークリスマス
for me
知らない
この曲
長渕剛だよ
隣に座っていた友達が教えてくれた
メリークリスマス
メリークリスマス
メリークリスマス
for me
メリークリスマス
メリークリスマス
メリークリスマス
for me
彼の声が 胸に 響く
ずっとね
うつ だったんだよ
彼
だあれも訪ねてこない精神病棟に
バーのマスターが
何度もお見舞いに行ったんだって
退院してからも
マスターが何度も何度も電話をかけて
三年ぶりの
今夜のステージなんだよ
友達の話を聞きながら
いま歌っている彼の中にある絶望が
希望に変わっていくのを
わたしは見た
わたしが自分探し なんて
カッコつけ始めた頃
元気に歌っていた彼が
疲れきって入院して
またギターを弾けるようになるまでの
三年間
けっきょく
自分でいるしかない
と気がついただけのわたしの前で
この人は立ちあがり
またギターを握っている
そんな彼の歌を
じっと 聞いていた
メリークリスマス
メリークリスマス
メリークリスマス
そうだよ
僕だけのメリークリスマス
あなたは
あなただけの
わたしには
わたしだけの
素晴しさが あるんだ
いつの間にか
バーの中は大合唱
みんな声を張り上げて歌ってる
メリークリスマス
メリークリスマス
メリークリスマス
for me
メリークリスマス
メリークリスマス
メリークリスマス
for
me
メリークリスマス
どうぞ
あなただけの
クリスマスを
あまりに空が青い朝
昨日は
とても疲れて
とてもしんどくて
なんだか久しぶりに
ダメな自分をいっぱい見つけたの
もう若くないしな
息子にも迷惑ばっかりかけてるしな
朝お弁当が間に合わなくて
おにぎり一個だけ持たせた息子の
無愛想な後ろ姿を思い出す
唐揚げとウインナーと玉子焼きの
定番の息子が大好きなお弁当を
作って持たせてあげたかった
わたしって
こんなに生きてきたのに
なんにもできない
そんな気持ちで一日が過ぎていった
夜ご飯はおでんを作って
待っていたけれど
やっぱり息子は
無愛想
いつもは気にならない
彼の態度が
おまえなんてダメなんだよ
と責めているように見えてくる
そんな夜は
早く
寝よう
お布団の中で
ひたひた
わたしを責めたいわたしの気持ちを
感じながら
そーだよねぇ
そんな日もあるよねぇ
ひたひたひたひた感じながら
それでも
今日もわたしの
大切な一日
朝 目が覚めたら
青空だった
今朝のお弁当はいい感じ
今朝も息子は返事もしないけど
行ってらっしゃい
声をかけた彼の背中は
もう
わたしを責めていないよ
急いで仕事の支度をして
わたしも外へ飛び出すと
あぁ
なんて
なんて
青い 空
青い青い そら
満たされてる時
いろんなことがスムーズに進んで
なにもかもうまくいってる時
わたしは出来る!と自信に溢れている時
そんな時はもちろん幸せだけど
なんにもない
ダメなダメなわたしを見つけた時も
わたしの上に
拡がる空を見ていると
生きていて良かったと思う
生まれてきて良かったと思う
さぁ
今日も
わたしの一日が
始まる
ダメでも
無器用でも
なんにもなくても
わたしにも
今日はやって来る