まるで少女みたいに恋をする

毎日は優しい奇跡で溢れてる 一緒に奇跡を見つけませんか

夕暮れブランコ

 

お昼寝から目が覚めたら

なんだか息苦しくて

部屋の中の空気がうまく吸えない

 

あれ

あれに似てる

 

酸素が少なくなった水槽で

口だけ水の上に出してパクパクしている金魚

 

あわてて前髪をピンで止めて

ジーンズをはいて外へ飛び出した

 

会社帰りの人にさからって

ゆっくり歩く

深呼吸しながら

 

夕暮れが始まって

向こうの曇り空もほんのり赤くなる

 

 

やっぱり

 

ちゃんと歩けない

 

 

公園のベンチに腰かけて

ふと横を見ると

 

 

ブランコ

 

 


f:id:iitan1115:20190819184757j:image

 

 

だあれもいない

 

ブランコは待っているのに

 

 

そっ  と腰かけて

ゆらゆら

揺れてみた

 

 

一回

二回

小さく揺れるブランコ

地面を蹴って

三回

四回

 

 

ちっぽけなわたしも

ブランコに乗ったら空まで届きそう

緩い風が強くなって体に当たる

ノースリーブの肩が冷たくて

反対に頬が赤くなる

 

小さい頃は毎日乗っていたブランコ

なんにも考えず楽しくて

思いっきり漕いで鳥になった

思いっきり漕いで光になった

 

 

あの頃

 

空気

 

美味しかったなぁ

 

 

 

やっと静まった息苦しさにホッとしながら

ブランコから見える街を見渡してみる

 

それぞれの家に灯りがともり

開け放たれた窓から子供の笑い声が聞こえる

これからみんなで夕ごはんかな

 

みんなみんな

優しい夜を過ごせますように

 

 

 

 

さぁ

 

 

帰ろう

 

 

 

わたしだけが待ってる家へ

 

 

 



f:id:iitan1115:20190820165811j:image

 

 

 

ただいま

 

 

おかえり