許していけば虹が架かる
道を塞いでるおばさん達
急いでるわたしの前にむらがっていて
通れない
掻き分けるように前へ進むけど
誰も何にも気づかない
わたしなんて見えていないのね
そのまんまむらがって
お喋りを続けてる
通りすぎてから
ババア邪魔なんだよっ
って
ぽそっ
と
言った
胸が
スーッ
とした
いつからかな
怒っちゃいけない
悪口言っちゃいけない
いい人でいよう
汚い言葉はやめよう
そうやって閉じ込めてきた自分
でも
わたし
言いたかった
ババア邪魔なんだよっ
って
でもね言っちゃダメだと思ったし
思うことさえダメだと信じてたの
わたしの中に
そんな汚ならしいわたしを
存在させてはいけない…
いやいや
ちゃんと見ましょうよ
汚い自分も綺麗な自分も
わたしです
笑ってる自分も泣いてる自分も
大切な大切なわたしです
ババア邪魔なんだよっ
って言った後
クスッと笑っちゃった
きっとわたしもああやって
友達と道を塞いで話してて
通りすぎる誰かに
邪魔なんだよっ
って言われるおばさんなんだよね
なんだかみんなが愛しくなって
あなたが待つ交差点へ
駆け出した
寒いけど
もうすぐ
春
どんな気持ちも
許した時に
虹は 架かる
僕だけのメリークリスマス
久しぶりにライブに行ったの
ギターの上手な友達に誘われて
仲間たちが何人かで歌うから
もし良かったらおいで
雪がチラチラ降る中を
すべらないように一歩一歩踏みしめながら
あぁ
今年も終わっていくなぁ
今日はクリスマスイブイブ
明日サンタさんは
わたしに何を持ってきてくれるのかしら
そんな事を考えながら
ライブが開かれるバーに着いた
おおー
久しぶりーーっ
三年前にはよく会っていた人達が
集まっている
ごめんね
ずっと忙しかったの
ごめんね
なかなか来られなくて
謝りながら
暖かいバーで飲む冷たいビールと
みんなの変わらない笑顔に
ホッとした
わたしが自分だけに集中していた三年間
仲間はここに集まって
変わらずギターを弾いていたのだろう
何かになろうともがいていた
わたし
何にもなれなくていいから
表現しつづけてきた仲間たち
それでいいんだよね
何かにならなくていいんだよね
今
自分が
本当に歌いたい曲を
ただ奏でること
それ以上に
素敵なことなんてないんだ
見たことのない男の人がステージに上がった
まだ幼そうに見える笑顔に似合わない
大きな手がギターをつまびいた
メリークリスマス
メリークリスマス
メリークリスマス
for me
知らない
この曲
長渕剛だよ
隣に座っていた友達が教えてくれた
メリークリスマス
メリークリスマス
メリークリスマス
for me
メリークリスマス
メリークリスマス
メリークリスマス
for me
彼の声が 胸に 響く
ずっとね
うつ だったんだよ
彼
だあれも訪ねてこない精神病棟に
バーのマスターが
何度もお見舞いに行ったんだって
退院してからも
マスターが何度も何度も電話をかけて
三年ぶりの
今夜のステージなんだよ
友達の話を聞きながら
いま歌っている彼の中にある絶望が
希望に変わっていくのを
わたしは見た
わたしが自分探し なんて
カッコつけ始めた頃
元気に歌っていた彼が
疲れきって入院して
またギターを弾けるようになるまでの
三年間
けっきょく
自分でいるしかない
と気がついただけのわたしの前で
この人は立ちあがり
またギターを握っている
そんな彼の歌を
じっと 聞いていた
メリークリスマス
メリークリスマス
メリークリスマス
そうだよ
僕だけのメリークリスマス
あなたは
あなただけの
わたしには
わたしだけの
素晴しさが あるんだ
いつの間にか
バーの中は大合唱
みんな声を張り上げて歌ってる
メリークリスマス
メリークリスマス
メリークリスマス
for me
メリークリスマス
メリークリスマス
メリークリスマス
for
me
メリークリスマス
どうぞ
あなただけの
クリスマスを
あまりに空が青い朝
昨日は
とても疲れて
とてもしんどくて
なんだか久しぶりに
ダメな自分をいっぱい見つけたの
もう若くないしな
息子にも迷惑ばっかりかけてるしな
朝お弁当が間に合わなくて
おにぎり一個だけ持たせた息子の
無愛想な後ろ姿を思い出す
唐揚げとウインナーと玉子焼きの
定番の息子が大好きなお弁当を
作って持たせてあげたかった
わたしって
こんなに生きてきたのに
なんにもできない
そんな気持ちで一日が過ぎていった
夜ご飯はおでんを作って
待っていたけれど
やっぱり息子は
無愛想
いつもは気にならない
彼の態度が
おまえなんてダメなんだよ
と責めているように見えてくる
そんな夜は
早く
寝よう
お布団の中で
ひたひた
わたしを責めたいわたしの気持ちを
感じながら
そーだよねぇ
そんな日もあるよねぇ
ひたひたひたひた感じながら
それでも
今日もわたしの
大切な一日
朝 目が覚めたら
青空だった
今朝のお弁当はいい感じ
今朝も息子は返事もしないけど
行ってらっしゃい
声をかけた彼の背中は
もう
わたしを責めていないよ
急いで仕事の支度をして
わたしも外へ飛び出すと
あぁ
なんて
なんて
青い 空
青い青い そら
満たされてる時
いろんなことがスムーズに進んで
なにもかもうまくいってる時
わたしは出来る!と自信に溢れている時
そんな時はもちろん幸せだけど
なんにもない
ダメなダメなわたしを見つけた時も
わたしの上に
拡がる空を見ていると
生きていて良かったと思う
生まれてきて良かったと思う
さぁ
今日も
わたしの一日が
始まる
ダメでも
無器用でも
なんにもなくても
わたしにも
今日はやって来る
あんなに辛かったのに 良い一日
昨日から嫌なことが続いて
わたしの振りかざした正義感は
見事にすかされた
え?
わたしが正しいって言ったよね?
だからその言葉を伝えた
なのに
まるで
知らん振り
まるくおさめたのね
まぁいーや
大人だし
大切な人じゃないし
まぁいーや
まぁ
いーや…
そんな気持ちのわたしは
誰にも大切にされない
わたしは
誤魔化さなくて良かったの
そんなのおかしい
って
あなたそう言いましたよね‼って
戦っても良かったの
まるくおさめようとしたのは
わたしもおんなじ
悲しい
自分を大切にしない日は
誰にも大切にされなくて
ひとりで
ぼんやりビールを飲んでる
あ
でも
そろそろ
息子が帰ってくるから
残りものばかりのおかずだけど
急いで用意した
落ち込んでも
イライラしてても
夜ご飯は
ある方がいいもんね
わたしがこんなにしょぼくれてるのに
いつも通りのきみ
納豆を山盛りご飯にかけて
テレビ見ながらもりもり食べてる
ぼんやりしすぎて
しょっぱくなったお肉も
ちょっと焦げたキャベツも
特売で買った安っぽいソーセージも
ぜんぶぜんぶ
空っぽになるまで食べてくれて
それを見てるわたしは
なんだか
もりもり食べてる君を見てるわたしは
なんだか
もりもり元気が出てきた
昨日からしょぼくれてた
今日もずっと イラついていた
だけど
良い
一日に
なったね
なんでもない
毎日おんなじの
君を見てると
どうしてだろう
なんだか全ては優しくて
今日も
やっぱり
良い 一日
笑おう
歌おう
今日と言う日に
ありがとう
誰かの笑顔の理由になる
お昼ご飯食べよう
めずらしくわたしから誘ってみたのは
この前友達と食べたお店のランチが
美味しくて
あなたに食べてもらいたかったから
外に出ると
ひどい土砂降り
でも
わくわくしてあなたの待つお店へ急いだ
わくわく
していたのに
あなた
ご機嫌が悪い
寝不足なの?
うん
疲れてるの?
うん
あなたを元気にしてあげたくて
楽しい話を繰り広げてみたけれど
返事も
しない…
わくわく
半分に減っちゃった
美味しいランチが運ばれてきたけれど
あなたの好きな味じゃなかったみたいで
ご機嫌はますます悪くなる
わたしのわくわくも
ゼロになっちゃった
美味しいねー
そう言って喜ぶあなたの笑顔が見たかったの
美味しいでしょー
そう言って喜ぶわたしの笑顔を
見てほしかったの
思い浮かべていた時間は
何ひとつ思い通りにはならなかったけど
土砂降りの中
仕事に戻るあなたの車を見送りながら
浮かんだ言葉を心に刻む
誰かの笑顔の理由になる
そんなわたしでいたいんだ
わたしはわたしが喜ぶよりも
誰かの笑顔の理由になりたい
そうやって今日まで生きてきた
そうやって明日も生きていく
たとえ
笑顔になってもらえなくても
笑顔の理由になることを
わたしはきっとまた
探すのでしょう
晴れても
雨でも
曇りでも
わたしだけは
笑顔でいよう
行きたい場所はあなたを待っている
朝
テレビを見ていたら
エーゲ海の話をしていて
エーゲ海なんて
一生見ることないんだろうなぁ
そう思った
そう思った時点で
わたしの世界から
エーゲ海は
消えた…
行けない場所は存在しない場所
だって
行く事はないのだから
わたしの世界には存在しない場所
けれど
わたしが
エーゲ海に行きたいと思って
飛行機を予約して
お金を払って
お金がなければ
誰かに頼んで
すがりついても
エーゲ海に行きたい行きたい行きたい
と叫び続ければ
わたしは
エーゲ海に
行ける
その時初めて
エーゲ海は
わたしの世界に
ちゃんと
存在するのです
行きたい場所はどこですか
行ける場所ではなくて
行きたい場所
本当に本当に行きたい場所なら
必ず必ず行けるのです
その場所は
あなたを
待っている
行こう
飛ぼう
あなたの世界は
あなたを待っている
思い通りにいかない最高
旅に出て
一日が暮れる頃
懐かしい街に着いた
あんなに忙しかった毎日をくぐり抜けて
やっと来たんだもの
楽しまなくちゃ
美味しい泡盛と
フルーツカクテル
お祭りの人混み
ここでしか見られない青い
海
なのに
心がときめかないの
じーっと
うずくまってるの
あんなに楽しみにしていた旅
曇りだった天気予報は
びっくりするくらいの青空で
久しぶりに訪ねたお店のひと達は
信じられないくらい
優しかったのに
わたしだけが
固まっている
息を吸って
立ち止まった
頑張らないで
ホテルでお昼寝した
無理に出かけるのを止めて
ホテルでコンビニのご飯を食べた
いま
この街に来たから
勿体ないから
あそこもここも行かなくちゃ
その気持ちの奥に隠れてる
いま
眠たい
いま
休みたい
いま
ぼーっとしたい
その気持ちを
大切にした
思い通りにいきすぎる街で
思い通りにいかない気持ちを
抱きしめながら
少しずつ
少しずつ
わたしの心が
色づいていく
なんでもない小さな花が
あちこちに咲いている
何回も聴いたはずの島唄が
こんなにこんなに
心に
沁みる
帰る日までずっと青空が続いた街
思い通りにいかないわたしの心を
大切に大切にしてあげたから
わたしの心も
すっかり
青空
またね
沖縄
またやーたい
沖縄
~7度目の沖縄の旅を終えて~