心地好さの中の 寂しさ
今日はお休み
いっぱい眠った
しっかりお掃除して
窓を開けたら
もうふんわり暖かくて春の薫り
洗い立てのシーツを干したら
ゆっくり
ひとりのお昼ごはん
いつもなら慌ただしく
テレビのニュースを見ながら食べるのに
今日は好きな音楽をかけて
カフェ気分
あぁ
この曲
久しぶり
大好きだった
こんな歌詞だったっけ
心地よいお休み
心地よい春の始まり
でも
ここに
あなたは いないね
この大好きな曲を
一緒に聞いた
あなたは いないね
心地好いって
少しだけ
寂しくても
いいのかな
この春の風に乗って
逢いたい人に
逢いに行こう
やさしいひとたちに囲まれて
道で転んで怪我したの
ぶつけたのはおでこなんだけど
目が腫れちゃった
仕方ないから眼帯して
仕事へ出かけてみたけれど
どうしたの?
大丈夫?
みんな心配してくれた
痛くない?
ビタミンとるといーよ
みんな
あたたかい言葉かけてくれた
道で転んで目が腫れた情けないわたしを
だあれも
笑ったりしなかった
笑い飛ばしていいのに
バカだねーって
ドジだねーって
笑い飛ばしてくれたなら
わたしも笑って
ホントードジだよねーって
それで
終わったのに
そんなにみんな心配してくれたら
わたし
なんだか
嬉しくて
涙が出ちゃう
なんでもない毎日で
いつも通りの朝が来る時には
気がつかなかった優しさが
心に染みてわたしを染める
ありがとう
やさしいひとたちに囲まれて
きっとわたしも
やさしくなれる
誰かにも
自分 にも
どんなことも
大切な何かを思い出させるために
起こってる
操縦席に座るのはわたし
ひとりでね
好きなことをする
お風呂にゆっくり入ったり
ミルクいっぱいのカフェオレ飲んだり
声張り上げて歌ったり
わたしはわたしに好きなことを
させてあげるの
操縦席に座るのはわたしだから
わたしの思う通りに
わたしの世界は創られる
誰かとね
一緒にいると
わたしはその人の顔色を伺うの
笑ってほしい
楽しんでほしい
心地好くいてほしいから
何が好きなのかな
その人に合わせて
その人を幸せにしたくて
その人を
操縦席に
座らせる
そんなの
おかしい
その人はその人の操縦席に座ればいい
その人の幸せはその人が創ればいい
わたしの操縦席は
わたしだけしか
座れない
座らせない
勇気はいるけれど
操縦席から降りちゃダメだよ
誰といても
どこにいても
操縦席にちゃんと座って
自分の心に聞いてあげよう
いま
わたしは
どうしたい?
心のナビに従って
深呼吸して
リラックスして
さぁ
飛ぼう
わたしだけの
行きたい世界が
待っている
明日はお休み なのに
明日はお休み
なのに
わたしご機嫌が悪い
あなたも疲れてるみたい
どこ行く?
なに食べる?
話し合ってみたけど
わたし
ご機嫌が
悪い
あなた
疲れてる
みたい
じゃなくて
疲れてる…
とりあえず帰って用意して
あなたからのラインを待ってみたけれど
やっぱり出かけたくない
お家にいたいなぁ
なんて考えていたら
あなたから
今日は眠いから明日ね
ってラインが来た
うんうん
だよね‼
わたしも今日はお家にいたくて
外でご飯食べたくなくて
良かった
ね
でもさ
もしも一緒に帰れたなら
こんな時でさえ一緒にいられるよね
あなたは疲れてて
わたしもご機嫌悪くて
あなたは眠って
わたしはテレビでお気にいりの映画見て
だけど一緒に暮らしてたら
ラインが既読にならなくて
苛立つ事はないんだ
メールが返って来なくても
不安になったりしないんだ
わたしはきっと
ねぇ
わたしはきっと
あなたと
いたいんだ
どんな時も
だあれもなれない 自分
もうすぐ春だから大掃除
引き出しの奥から
小さい頃の写真が出てきた
なんだか
わたしいつも怒ってる
笑顔になったのは高校生くらいから
それまでのわたし
ずっとずっと不機嫌な顔してる
多分
父が写してくれた写真だから
父の前では恥ずかしかったんだろうな
笑顔をつくること
高校生になったら
友達が写してくれるようになって
いつのまにか
父が写してくれる事はなくなったんだろうな
笑顔 ばっかり・・・
わたしは不機嫌な子供でした
ちょっとした事でイライラして
泣いたり怒ったりしてました
思った事を何でも言うので
ずいぶん友達にも嫌われました
目立つのが大好きだったので
人より先に手を上げて
なんでもやりたがり
でも
けっきょく最後まで出来なくて…
好きなものがコロコロ変わり
いつも落着きがなくて
いつも誰とも交われない
わたしはおかしい
少し大きくなった頃
自分のことを変えたいと思いました
いつも明るくて優しくて
みんなの真ん中でキラキラ
笑ってる女の子になりたかった
言いたい事は言わなくなりました
出来る事も手は上げなくなりました
わたしは
わたしではなく
好かれる誰かに
なりました
そして
こんなに年を重ねて
いま
わたしはわたしに戻ろうとしています
言いたい事を言うのは
最初はすごく恐かった
でも言ってみたら大丈夫でした
手を上げてやってみて
最後まで出来ないけれど
助けてくれる誰かがいました
不機嫌な顔をしてても
友達はわたしのそばにいてくれて
友達の不機嫌な顔も
わたしは気にならなくなりました
ね
そのまんまで良かったのです
何かにならなくても
良かったのです
不機嫌な顔していたわたしが
ご機嫌な顔を無理に作って
また不機嫌な顔に戻ったら
本当に優しく
笑えるように
なりました
不機嫌でもご機嫌でも
わたしはわたしのまま
あなたは
あなたのまま
他のだあれも
自分には
なれないのだから
もう逢えない あの子へ
昨日 夢を 見ました
夢の中で
あの子と息子が笑っていた
何がそんなにおかしいのかしら
ケラケラケラケラ
声を出して笑っていた
あれ?
あんた達 別れたんじゃなかったっけ?
わたしが聞くと
あの子微笑んで
別れましたけど
でも
こうして逢ってるんだよねー
そう言って息子の顔を見つめてる
息子が恥ずかしそうに頷いたところで
目が
覚めた
あぁ
久しぶりに見た
あの子の顔
去年まで週に一度は遊びに来ていた子
息子の部屋からは
いつもいつも二人の笑い声が
聞こえていたっけ
息子が会社を辞めて引きこもった時も
愛犬がお空に帰った時も
あの子はずっと息子のそばにいてくれた
わたしの他に
息子を愛してる人がいる
わたしの他に
息子をいたわってくれる人がいる
それがどんなに心強かったかしら
1月になったばかりの寒い夜
あの子いつものように
こんにちは
と言って遊びに来てくれた
それが
最後だった
その時
別れ話しに来たことを
息子から後で聞いた
息子の部屋からは
あの子が置いていたこまごましたものが
ぜんぶ
きれいに
なくなっていた
おかしいわね
週に一度は顔を見ていて
おみやげを渡したり
誕生日プレゼントもらったり
なんとなく
すっかり仲良くなったつもりでいたけど
息子と別れたら
わたし
あの子の連絡先も知らない
電話番号も
アドレスも
なんにも知らない
だから
多分
もう二度と逢えないの
逢えないから
えりちゃん
ありがとう
三年もわたしの息子を
支えてくれてありがとう
二人の未来は別々になっても
わたしはあなたを忘れない
いつまでも
その
少女のような笑顔のままで
幸せになってね
もしかしたら
わたしの娘になっていたかもしれない
もう二度と
逢えない
あの子へ
届きますように…
寂しいなぁ
許していけば虹が架かる
道を塞いでるおばさん達
急いでるわたしの前にむらがっていて
通れない
掻き分けるように前へ進むけど
誰も何にも気づかない
わたしなんて見えていないのね
そのまんまむらがって
お喋りを続けてる
通りすぎてから
ババア邪魔なんだよっ
って
ぽそっ
と
言った
胸が
スーッ
とした
いつからかな
怒っちゃいけない
悪口言っちゃいけない
いい人でいよう
汚い言葉はやめよう
そうやって閉じ込めてきた自分
でも
わたし
言いたかった
ババア邪魔なんだよっ
って
でもね言っちゃダメだと思ったし
思うことさえダメだと信じてたの
わたしの中に
そんな汚ならしいわたしを
存在させてはいけない…
いやいや
ちゃんと見ましょうよ
汚い自分も綺麗な自分も
わたしです
笑ってる自分も泣いてる自分も
大切な大切なわたしです
ババア邪魔なんだよっ
って言った後
クスッと笑っちゃった
きっとわたしもああやって
友達と道を塞いで話してて
通りすぎる誰かに
邪魔なんだよっ
って言われるおばさんなんだよね
なんだかみんなが愛しくなって
あなたが待つ交差点へ
駆け出した
寒いけど
もうすぐ
春
どんな気持ちも
許した時に
虹は 架かる