眠り姫
お休みになるまで
毎朝4時に目が覚めた
仕事が忙しくて
やることがありすぎて
一日の中に一日が収まりきれなくて
いつも
水が少なくて口をパクパクさせる
金魚みたいに
焦っていた
一生懸命だった
そんな自分も好きだった
頑張るわたし
その先には長いお休みが待っている
お休みまで走ろう
そして
お休みの日も朝4時に起きた
お洗濯してお掃除して
部屋を綺麗にして
あなたを待った
旅が始まる
行ったことのない町
初めて見る景色
雄大な自然にときめきながら
わたしはずっと眠っていた
車が走っている間
わたしはずっと眠っていた
隣で運転してくれているあなたに
とても申し訳なかったけれど
いくらでも眠れた
どんな綺麗な景色を見ても
車に戻るとまた眠った
美味しいランチを食べて
はしゃいで
青いビールを飲んで
ふんわり酔って
旅館の朝ごはんに
ワクワクして
いっぱいいっぱい楽しくて幸せで
空が青くて
夕陽が綺麗で
なのに
また眠ってしまうの
あなた
あきれた顔で
よく寝るね
って
笑っているから
旅した五日間
甘えて
眠たいだけ
眠った
まるで
眠ってしまう魔法をかけられたみたいに
いつまでも眠れるわたし
すやすや眠るわたしの横で
目的地に向かって一生懸命
ハンドルを握るあなた
なんか
いつから
こんなに
愛されるようになったのかな
お姫様の年じゃないけれど
お姫様みたいなわたし
王子様みたいな年じゃないけれど
王子様みたいなあなた
眠りの中でずっとずっと
あなたの
愛を感じてる
ごめんね
そして
ありがとう
目が覚めたら
あなたの優しい笑顔が
いつも
わたしを 見つめてる