まるで少女みたいに恋をする

毎日は優しい奇跡で溢れてる 一緒に奇跡を見つけませんか

世界で一枚の 絵



ひどい


涙なんて出ないけど
悔しくて帰ってきた真夜中

玄関に靴が二足あった


明日はお休みだから
息子の友達が泊まりに来てるらしい


わたしの部屋に行くと
掛け布団がなくなっている

仕方なく
押し入れから毛布を出して
夏の掛け布団も出して
ストーブをつけっぱなしで
ベッドにもぐり込んだ

友達が来る時は
押し入れのお布団使ってね
って
あれほど言ったのに


嫌な事があって帰ってきた夜だから
余計にイライラする


イライラしたまま



眠ってしまった






目が覚めたら



悲しかった




なんであんな事


するかなぁ…





怒りもイライラも消えて


ただ


悲しかった





もうしばらくひとりで過ごそう


わたしを大切にしてくれない人と

一緒の時間を過ごすのはやめよう



もっとわたしをを大切にしろ


そう言いたいけれど

大切にされないのは
自分が自分を大切にしてないからだと
よくわかってる


わかっているから


悲しい



こんなにわたしの気持ちに向き合って
正直に生きる毎日を繰り返してきたのに


わたしを大切にするやり方を
間違っていたんだろうか

まだまだわたしはわたしを
大切にしてないんだろうか


相手への怒りが

自分への怒りに変わりそうになる


そんな想いでぐるぐるしながら

居間に行くと息子が起きてきた



ご飯は?


いるいる
友達の分も


二日酔いだから
たいしたもの作れないよ


なんでもいーよ


ねぇ
おかんの掛け布団持ってかないで
押し入れから出して使って
って言ったよね


おっけー



鼻唄を歌いながら
息子は部屋に戻っていった


なにがおっけー  だよ
わたしは昨日嫌な事があったから
機嫌悪いんだよ

そう思いながらも
にんやりしてしまう


おっけー     か


ラインすると

おけ

と返してくる息子


具合い悪い時期は

おけ

なんて返してこなかった


いつも

大丈夫

と返事してきたっけ




ふと窓の外を見ると 雪が降ってきた


去年の今頃だったっけ

息子が心の調子を崩して
どこへも行けなくなったのは


あの頃のラインの返事は

全部「大丈夫」




大丈夫
大丈夫

息子は自分を励ましていたんだろう


大丈夫!
大丈夫!

わたしも息子に言っていたんだろうな


毎日が希望と不安の
手探りみたいな日々だったっけ



息子は元気を取り戻して

おけ

としか返事が来なくなり

こうして楽しく生きている



あれから一年   たったんだなぁ…






昨日の悔しい出来事なんて

どこかへ消えてしまうくらい

わたしの中に

ありがとうの気持ちが満ちてくる





息子の部屋からは
ゲラゲラ笑い声が聞こえてくる

なにがそんなに楽しいのだろう

二人は大きな声で笑っている



わたしは残ったご飯で炒飯を作りながら
ずっとその声を聞いていた




一年たって

あんなに辛そうだった息子が

大きな声で笑えている今

辛かった毎日が

綺麗な綺麗な一枚の絵のように

わたしの中に甦る



幸せな事も
幸せには見えない事も

心を揺さぶる一枚の絵に
いつか必ず変わっていく





わたしを大切にするって
もしかしたら

こうして毎日溢れてくる
わたしの気持ちを無視しないで

思いきり思いきり

真っ白なキャンバスに描いていく




ただ



それでいいのかもしれないね





それが


わたしだけの



世界で一枚の絵に なっていくのだから




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全部


わたしが描きたい絵のために


いま


必要な気持ち