幸せのかたち
幸せって
なんにも悩みがなくて
好きなときに
好きなところに行けて
好きなものを
好きなだけ買えて
好きなひとに
好きって言われて
好きなだけ
好きなことをする
夢みたいね
そうなったらいいね
だけど
幸せって
もしかしたら
違う形もあるのかもよ
小雨が振りだした空の下で
ぱあーっと開いた傘が
春の桜みたいだったり
自転車で通りすぎた男の子が
小さかった頃の息子にそっくりだったり
地下鉄でいちばん端の席に座れたり
なんでもない毎日が
今日も繰り返されていく
そんな幸せの形で創られている
わたしの世界
今日の雲は
羽衣みたいに
わたしを包んでく
うまくいかないまんま
大人になると
うまくいかないことがあっても
平気な振りしていませんか?
わたしは
先週 仕事でミスをして
めちゃめちゃ落ち込みました
落ち込んで何にも出来なくなって
友達に大切なメールを送り忘れて
友達にも嫌われそうです
悲しい気持ちを慰めてほしいのに
あなたは忙しくて
まったく
逢えない…
泣きそうな気持ちになりながら
ひとりで
うまくいかないことを見つめてる
ね
でもね
それがきっとベストなの
うまくいかないことって
うまくいってたら
うまくいかなくなっちゃうから
うまくいかないの
仕事でうまくいってたら
きっと
こんなに今練習しなかっただろうし
友達にサッサとメールしてたら
友達の気持ち考えなかっただろうし
あなたに毎日逢えてたら
まぁいいや
って
ちゃんと落ち込むことも出来なかった
うまくいかないことを
うまくいってるんだ
って
誤魔化すんじゃなくて
うまくいかないことまるごと
これでよかったんだ
って愛してあげよう
うまくいってもいかなくても
わたしは他の誰にもなれないし
他の誰にもなりたくない
うまくいかないまんま
わたしはわたしらしく
歩こう
ね
道は
ずっと 続いてる
日本晴れ の 空
日本晴れ
って最近あんまり言わないんだって
だから
若い子は知らないんだって
そんな会話で始まった朝
わたしの心は日本晴れでした
雲ひとつない空は
わたしの気分そのもので
今日はあなたとどこへ行こう
そればっかり考えていた
なのに
お昼から小雨が降りだして
風が吹き始めて
あなたからラインが返ってこなくって
夕方
やっと連絡がついたら
ごめんね
今日は仕事だから
あー
もっと早く連絡してください
日本晴れの心は
夜にはすっかりショボくれて
そのまんま眠った
まあるくなって眠った
朝
起きても
寂しいまんまだったけど
お掃除して
お洗濯して
仕事へ出かけて
帰り道
地下鉄に乗らないで
歩いた
モヤモヤしてる寂しさを吹き飛ばしたくて
歩いた
見上げたら
今日も
ううん
今日の方が
日本晴れ
立ち止まって
息を吸って
空を見上げて
わたしの心がどんなになっても
晴れる時は晴れるんだね
それなら
わたしの心がどんなでも
この空に
まかせよう
一人ぽっちで歩く道の上に拡がる
わたしを包み込むような
日本晴れの 空
寂しさが
溶けていく 空
予定は未定
え?10時間も眠った?
時計を見直した
昨日あんなに早く寝たのに
早く起きて書こうと思っていた原稿
午前中に送らなきゃいけない
うん
まず起きて歯を磨こう
ラジオをつけると
なぜかゆうみんのメドレーで
わたしの好きな懐かしい曲ばかり
かかってて
うん
これはお風呂だな
熱いお湯を溜めている間に
掃除機をかけて
お洗濯ものをたたんだ
家中に流れている ゆうみんと
一緒に歌うわたし
原稿
は
一行も書けてない
お風呂にゆっくり入って
髪を乾かして
ミルクたっぷりのカフェオレ作って
おおっ
こんなに美味しいカフェオレは
どこかのお店で出せるかもなんて
感動して味わうの
原稿
は
一行も書けてない
ゆうみんメドレーも終わった
カフェオレも半分になった
そろそろ
原稿・・・
ラインが
鳴った
少ししか時間がないけどお昼食べる?
あなたからのお誘い
原稿と あなたの笑顔が
頭の中でシーソーに乗る
すぐ用意するね
まだ間に合う
あなたも
原稿も
まだ間に合うの
急いで支度して
(お風呂に入ってて良かった)
メイクのノリも良くて
(たっぷり寝てて良かった)
家からすぐのレストランへ向かう
昨日は逢えなかったから
懐かしすぎてちょっとせつなくなる
急いでるあなたに
急いで食べるもの決めてよって言われたのに
わたしが決まってもまだ悩んでる
あなたが可愛い
台風が来るみたい
週末は晴れるかな
なんてことない会話が幸せなランチタイム
お天気の話だけでときめく人なんて
あなたしかいないから
サラダを取り替えっこして
デザートを半分こにして
行くね
って
手を振るあなたを見送って
ふぅー
あ
原稿原稿
ひとりぽっちになった席で
紅茶を飲みながら原稿原稿
12時
ジャスト
間に合いました
朝早く起きて書こうと思った原稿は
こんなにギリギリになってしまったけれど
予定は未定
未定の中には
いっぱい幸せが詰まってる
ね
のんびり行こう
また9月の風に吹かれて
車を飛ばして
あなたと海を見に来た
9月の光りはまだ眩しくて
9月の空はどこまでも蒼くて
また9月が来たね
あなたと出逢った9月
なんにも喋れなかった二人が
なんでも喋れるようになって
わがままも言えるようになって
甘えることも
断ることも出来るようになって
こうして
世界でいちばん居心地の良い人になる
手は繋がなくなったけど
心は繋がってるからね
なんて呟いてみるけど
風の音に消されて
きっとあなたに届かないでしょう
また
9月の風に吹かれて
あなたと歩く
海と空の真ん中
先に歩くあなたを追いかけて
その手を
心ごと握った
奇跡を見つけた
お休みの土曜日
朝早く友達と待ち合わせして美術館
9時半だって
はやすぎるー
なのに
もう満員なの
コミコミなの
美術館ってすごいね
一時間で見終わったわたし達
まだどこも開いてなくて
そばにあった小さな喫茶店に入った
モーニングのメニューを見ながら
すみません
モーニング以外もできますか?
できますよー
ちょっとお時間いただきますけど
優しいお姉さんの声が
小さなお店の中に響いた
わたしはツナサンド
友達はドリア
久しぶりに会った彼女とお喋りに
夢中になっていると
お待たせしました
ツナサンドが運ばれてきた
え?
なんか
すごく美味しそうなんですけど
まず珈琲
うーん
おいしーい
そして
ツナサンドひと口
え?
なんでなんで?
なんでこんなに美味しいの?
バターの加減も
マヨネーズの加減も
パンの柔らかさも
珈琲の酸味も苦味も
わたしの好み100%
友達が
友達の友達の話をし始めたけど
ツナサンドが美味しすぎて
なんにも耳に入らない
このパンは買ってきたものかしら
このツナはわたしの家にあるのと
おんなじ缶詰かしら
なにもかもが美味しい
美味しい
を
わたしにプレゼントしてくれた
今日という時間と
この小さな喫茶店と
ツナサンドを作ってくれた店員さんと
目の前で喋ってる彼女と
美味しい
を
こんなに感じられる自分に感謝して
ありがとう
ごちそうさま
ただ
美味しいだけなんだけど
よく考えたら
この瞬間の すべてが
奇跡
奇跡は
自分が見つけるもの