変わる季節
紅葉が本当に綺麗だった
それはついこの前
冷たい風が落ち葉を撒き散らして
小さな竜巻が出来ているのを
じっと見つめてたら
はやくー
坂を登ろうとしてるあなたに呼ばれた
さむいねー
鼻を赤くして
坂道を駆け上がると
わたしの住む街が拡がっていた
寒いのに
風は冷たいのに
体がポカポカしてきて
心はもっとあったかかった
なんでここに来たんだっけ?
なんで?
なんで?
二人で笑っちゃった
紅葉見たいって言ってたでしょ
車に戻ってから
あなたがポツンと言った
へぇ
へぇ
そうかぁ
覚えていてくれたんだ
なんにも答えないまま
車は走り始めたけれど
今度はほっぺがちょっと赤くなりそう
紅葉見たいって言ったこと
覚えていてくれたんだ・・・
あったまるもの食べたいね
うどん
味噌煮込みうどん
あっ
カレーうどんっ‼
声が揃ったところで
さぁ久しぶりのカレーうどん
うわぁぁぁー
美味しそうっ
紙エプロンつけてね
はふっはふっふぅふぅ
初めてのデートならちょっと
食べづらいかもね
そんなこと話しながら
もうずっとそばにいてくれる
あなたの顔を見た
あったくて美味しくて
毎日があったかくて優しくて
これから冬に向かうことさえ
幸せに感じてた
あっと言う間に
秋は駆け抜けて
赤く色づいた葉は落ちて
季節は
変わった
あの日に帰りたくなるくらい
二人にいろんなことがあった
今は少しだけ距離を置いて
ソーシャルディスタンス
変わっていく季節のなかでも
二人は
変わらないって
誰か
言って
あなたを見ていた季節から
わたしの心だけを見つめる季節が
はじまっていく