まるで少女みたいに恋をする

毎日は優しい奇跡で溢れてる 一緒に奇跡を見つけませんか

味わうHAPPY 1

 

 

朝からわたしは二日酔い

 

でも旅に出た

 

とにかく何か食べなきゃ

具合い悪いまんまだけど

たどり着いた大きなスーパーの

レストラン街は人混みで

それだけでもう無理

 

 

スーパーを出てトボトボ歩いた

 

寒いなぁ

 

ちょっと先にお蕎麦やさんの看板

 

冷たい風に体を縮めながら

一歩一歩重たい足取りだけど

お蕎麦なら食べられそう…

 

 

扉を開けるとお昼時だから満員

 

すぐに店員さんが

何名さま?と聞いてくれる

 

一人です

 

答えながらカウンターの端を見つめると

サラリーマン風の男の人でいっぱい

あそこでお蕎麦を食べるのは嫌だな

と思った

 

小上がりへどうぞ

店員さんは襖を開けて

宴会に使う広い部屋に案内してくれた

 

だあれもいない

 

え?

ここ使っていいんですか?

 

お好きな席使ってください

 

ホッとして

のろのろとブーツを脱いで

マフラーを外して座った

 

 

 

あったかぁい

 

窓の外にチラチラ雪が降り始めてる

 

いらっしゃいませ

ありがとうございました

混んでいるお店のざわめきが聞こえてくる

でも誰もこの部屋には入ってこない

 

少ししてから

おしぼりとお水を店員さんが

持ってきてくれた

注文して

お水をひと口飲むと

また胸がムカムカした

 

飲み過ぎたもんなぁ

ぼんやり昨日のことを思い出す

 

一杯目のビールが美味しくて

話がはずんで

レモンサワー飲んで

シークワーサーサワーにして

またビールに戻して

そのあたりから酔っ払って

あれでやめとけば良かったのに

もう一軒行っちゃったんだっけ

 

胸をさすりながら

そんなこと考えていたら

あったかいお蕎麦が運ばれてきた

 

おいしそ

 

ひと口おつゆを飲んでみた

 

ちょっと濃いめで

 

あーこれなら大丈夫かも

 

 

 

いつもならササッと食べてしまう

お蕎麦だけれど

ゆっくりゆっくり食べた

 

窓の外の雪と同じペースで

ゆっくりゆっくり食べた

 

 

体があったまってきて

うっすら汗をかく頃には

二日酔いが抜けてきて

昨日の後悔も抜けてきて

これから旅する街のことを思って

ふんわり幸せになる

 

 

きっとこのお店に来たくて

ここのお蕎麦を食べたくて

わたしは昨日飲み過ぎて

二日酔いになったのかもね

 

 

そんな都合の良いことを考えて

ひとりでニッコリしてみる

 

 

 

 

 

 

味わうHAPPY

 

 

 

 

 

今日は

 

 

山かけ蕎麦

 

 

 


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ごちそうさまでした