息をするようにあなたといる
この景色
見たことがある
そう
あれは
まだ雪が残っていた三月
あなたと見たんだ
あの時わたしは幸せでした
寒いのに心は暖かくて
二人でいっぱい笑った
今日のわたしは
嫌なことがあって
不安でいたたまれなくて
でも
あなたにそれを見せないで
笑った
ふり
あなた
気がついているのかしら
わたしにたくさんの景色を見せるため
車を走らせてくれた
青い青い海も
沈んでゆく太陽も
暮れてゆく街並みも
綺麗で
綺麗で
綺麗で
綺麗で
もっと
寂しくなった
息をするようにあたりまえに
あなたといるけれど
一緒の場所に帰ることはない
もしおんなじ部屋に帰るとしたら
こんなに寂しくならないでしょう
そして
もしおんなじ部屋に帰るとしたら
息をするよりもあたりまえになって
あなた
わたしを大切にしなくなるのでしょう
聞いてみたい言葉を抑えて
流れてくる曲を歌った
あなたが口笛を吹いて
それに合わせてくれる
もう少し ゆっくり走って
まだ
あなたと一緒にいたい
息をするように
あたりまえに
涙がにじんで
車の窓の外がぼやけても
あなたの口笛に合わせて
わたしは歌うのを
止めなかった