いつも海が教えてくれた
海のそばで生れたわけじゃない
海のそばで暮らしたこともない
なのに
なぜ
こんなに海が見たいのだろう
たどり着いた海は
風に波しぶき
もう秋なんだ
空が高い
海に似合わない
白いワンピースとヒールのわたしを
ちらっ と見て通り過ぎる釣り人達
潮の香りと
荒い波の音に
包まれていくわたし
大丈夫
え?
大丈夫
大丈夫
海から聞こえてくる 言葉が
わたしに届く
20歳のわたしも
こうして海を見つめていた
あの時は車もお金もなくて
ひとりで電車に乗って海を見に行った
そして 海は言った
大丈夫
大丈夫
あれから何十年も経って
すっかり大人すぎるくらい
大人になったわたしにも
悩まなければならないことは起きてくる
どうすれば良いかも今はわからないけれど…
大丈夫
大丈夫
海の声を信じて
顔を上げて歩いていこう
生きていくこと
悩んでも躓いても
ひっくり返ってもひれ伏しても
生きていくこと
いつも海が
それを教えてくれたんだ
大丈夫なんだよ
幸せになるために
生まれてきたんだ