なんでもない 朝
夏の終わり
蒸し暑かった風が
少しだけ涼しくなる
いつもよりだいぶ早く目が覚めたけど
きれいな朝の空気が心地よくて
このまま 起きてしまおう
カーテンを開けて
炊飯器のスイッチを入れて
お水を飲んで
冷蔵庫から野菜を出して
お弁当を作る
テレビをつけると
オリンピックのニュース
玉子焼きを焼くと
甘い香りがひろがって
ちょっとだけ味見
なんでもない 朝
ソファに座って珈琲を飲み始めた頃
息子がぐしゃぐしゃの頭で起きてくる
なんでもない
いつもの 朝
そうだ
愛犬にご飯をあげなきゃ
立ち上がって
ふと 思い出した
あの子
死んじゃったんだっけ…
愛した命がいなくなっても
変わらず繰り返されていく
夏の終わり
いつもの 朝
わたしは
涙が止まらなかった
あの子が
お空に帰ってから
一週間たった
夏の 朝