まるで少女みたいに恋をする

毎日は優しい奇跡で溢れてる 一緒に奇跡を見つけませんか

手の中の幸せ




幸せになりたくて

手を伸ばしてみたけれど


なかなか届かなくて掴めなくて
あきらめて拗ねる


どうせ私なんてこのくらいがお似合い




そんな気分のまま
懐かしい友達と待ち合わせした

久しぶり



あの子は
優しい人と結婚して
あたたかい家庭を作ってる

あの子は
仕事出来る彼を見つけて
あんなに立派な家に住んでる



わたしは




シングルマザーでこの程度


ずっと仕事して
ずっとひとりで子育てして


なんだか


惨めだ…






なかなか予約がとれないスペイン料理
こじゃれたお店で三人で乾杯

みんな
綺麗に年をとったね

誉めあいながら笑った

もう知り合ってから40年も経っちゃった



いろんな話しながら
ほろほろ酔ってきた時


いいなぁ
仕事して
わたしも仕事していたかった


立派な家に住んでる彼女に言われた


ひろいお庭のガーデニングが趣味の彼女
なんにも悩みなんてなさそう


幸せだけど毎日平凡
これからは何かお店でもやりたいなぁ




生活費を稼がなくていい毎日なら
平凡でもいーけど

なんて意地悪な事をわたしは心で呟く




いいなぁ
今好きなひとがいて
家なんてもう話すこともないよ
寝るのも別々


大恋愛して結婚した彼女が言う



えー
あんなに大好きな人だったのに
寂しくない?


わたしが訪ねると
彼女はくすっと笑った


もう男の人として見てないから
もう家族だもん空気だよ



えっ
じゃあ女としての自分は寂しくないの?




いらないいらない
女の部分はいらないよー


そうそう
もういーよねー


友達二人はけらけら笑ってる








そうなんだぁ…




わたしはずーっと仕事して
わたしはずーっと恋をして
わたしはずーっと女でいたくて

なんにも若い時と変わらない



でも二人には
二人の積み重ねてきた時間の中で

変わっていくもの
増えたものも
減っていくものもあるんだなぁ




これで


いいんだね




ちっぽけなシングルマザーのわたしを

いいなぁ

と言ってくれる友達


あなた達の方がいい

と思いながらも

あなた達になりたいと思わないわたし


きっと
二人もそう


いいなぁ と言いながら

わたしの人生と取り替えたりしない





みんな

ちゃんと

望み通りの道を進んでる





じゃあね
またね
また会おうね



三人はそれぞれの場所へ帰っていく





待ち合わせした時には
うつ向き加減だった背中を
しゃん‼と伸ばして


わたしはわたしの選んだ道を


胸はって歩こう




手の中に握りしめて見えなくしていた幸せを


そうっ   と手をひらいて


優しく優しく


見つめよう


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こんなに


いっぱい






あったんだ