モーニングコール
もう
何日も会ってない
あなたは遠い町
あんなに傍にいた人が
いつも手を伸ばさなくても
触れられる距離にいた人が
いなくなった時ふと思う
あれは夢だったんじゃないか
私はずっと一人で今もひとりで
優しい夢を見ていただけなんじゃないか
あなたとの日々は
ぜんぶ
寂しい私が作り出した幻
そんな夜
あなたからメールが届く
明日5時半に起こしてください
ホテルにはアラームもあるはずだけど
寝過ごしたら困るような
大事な仕事がきっとあるのね
3時に目が覚めて
4時にまた目が覚めて
はっ と気がついたら5時35分
慌ててスマホを耳にあてる
一回二回 呼び出し音が鳴る
おはよう
電話の向こうから
あなたのあったかい声が聞こえた
ごめんね
寝坊しちゃった
いいよいいよ
起こしてくれてありがとう
たったそれだけのモーニングコール
だけど
胸がほっこりした
まだ眠れる時間がある安心と
あなたの声を聞いた安心が
わたしの体をすっぽり包んで
はふーっと大きなため息をついて
お布団にくるまった
あなたはいるんだね
ちゃんといるんだね
そしてお仕事が終わったら
わたしの隣で
また笑ってくれる毎日が始まるんだね
不安な気持ちが
サァーッと引き潮みたいに引いていく
寒い朝のモーニングコール
電話をかけたら
こんなに
あったかい
あなたへの想いを抱き締めながら
もう一度
眠りましょ