少女の心を持ちながら
ときどき
本当に 時々
忘れてしまった想いが ふっ と 甦る
朝の風
髪を縛った時の 凜とした感触
洗い立ての洗濯物
お母さんが台所でお料理する優しい音
学校へ向かう道
休み時間の笑い声
廊下の向こうから歩いてくるあの人
ドキドキして影に隠れた
まだ少女だった わたし
あの想いは
どこへ
いったのだろう
時間は一瞬も止まっていない
大好きな気持ちも
もう会えない悲しみも
息が止まるような切なさも
わたしの体を埋め尽くすけど
必ず
どこかへ いってしまう
わたしの
あの大切な気持ちは
いったい
どこへ いったのだろう
毎日新しい気持ちが生まれる
忙しくてやらなきゃいけない事の中に
やりたい事が押し潰される
歩いて走って もし立ち止まったら
わたし もう前に進めない
だから前へ
明日へ
少しでも先へ
ふぅ…
いま短い私の髪はポニーテールに
出来ないけれど
立ち止まってみよう
凜 として 風を感じてみよう
洗濯物をバタバタ干すだけじゃなくて
洗い立てのシャツに顔をうずめてみよう
大好きなあの人を見かけたら
隠れないで
しっかり見つめよう
あの人の姿を 心に 刻もう
想いを
なかった事に
しないで
からだいっぱいに 満たしてあげよう
少女の頃には戻れなくても
少女の心は覚えているから
少女の心を持ちながら
大人のわたしは歩いてく
ときどき 立ち止まりながら
風を感じながら
きらめけ