まるで少女みたいに恋をする

毎日は優しい奇跡で溢れてる 一緒に奇跡を見つけませんか

寂しい 初雪




日曜日だから
ゆっくりランチして温泉に行こうね

あなたの言葉を信じて
もう少し眠いけど
早起きしてお掃除して
メールを待った




雪だよ

え?こっちは降ってないですよ

こっちは真っ白




そんなメールを
返しながら
仕度をして あなたを待った

雪なら
白いセーター
ちょっと厚いかなぁ
まだ10月だからちょっと早いかなぁ
迷ったすえに
薄手の黒いセーターに着替えた

あなたの車が着いた頃には
私の家の周りも雪景色



夏タイヤ
大丈夫?



話してる間にも
雪はどんどん ひどくなる
もう道路も 真っ白



さすがに ちょっとマズイよね…


ドライブも温泉も
また今度にして
雪の中を あなたの住む町へ
向かった


あなたの近所でご飯だけ食べよう
私は地下鉄で帰るから



その頃から
あなたは無口
私も 無口


期待していたランチは
それほど美味しくもなく
元気だそうと私ひとり
ランチビールも頼んでみたけど
空回りしたみたい




ランチを終えて外へ出ると
雪はすっかり止んでいた
道路は濡れていたけど
夏タイヤでも大丈夫そう



やっぱり送るよ


あなたの言葉を期待したけど…






じゃあ地下鉄で帰るね

うん
じゃあね



車に乗り込むあなたを見ない振りして
背中を向けた



寒いせいかな
涙が にじんだ





帰りの地下鉄の中で
何度も何度も繰り返した

今は溶けてるけど
またすぐ積もるかもしれないし
送ってもらって
もし帰り道 すべったら大変だもの
送ってくれなくて良かったの
送るよ って 言ってくれなくて良かったの



家に着いたら
周りの雪も
すっかり溶けて
さっきまでの吹雪が嘘のよう


雪 じゃなかったら
今頃 二人笑ってドライブしてた

あったかい温泉で
ぬくぬくしてた

こんな寂しい気持ちにならなかった





なんで

今日

雪が

降るのかな




のろのろ鍵をあけて
部屋に入って
鏡に写る 自分の顔を見る


黒いセーターのせいかな
なんだか くすんで見えた



やっぱり…



鏡の自分に そっ と 呟く



やっぱり白いセーター




着てけば




良かった…





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寂しいょ


って言えなかった


寂しい寂しい


初雪 の 日