まるで少女みたいに恋をする

毎日は優しい奇跡で溢れてる 一緒に奇跡を見つけませんか

テレビのない 部屋


息子が転勤になり
一人暮らしすることになり
メソメソと
子離れできない私になり…


思ってたより
近いところに辞令が出て


やって来ました


息子の一人暮らしの部屋に




あー


まだ引っ越したばかりだから
そんなに汚れてないけど

でもでも

段ボールに囲まれて
お布団が敷いてある


お茶のペットボトルに
吸い殻が入ってる


そんな状況…




まず買い物


食器を洗うスポンジ
お風呂のイス
洗面器
足りなかったバスタオル
ごみ袋


なんだか
不思議だなぁ

自分の暮らしに関係ない
生活の道具を買うわたし

いっぱい買って
ふうふう言って


床を拭いて
洗濯機まわして
段ボールを片付けて


ビールをプシュッ


とあけたその時





ふっ


と気がついた





なにか違う
すごく違う






この部屋




テレビがないんだ





まだ買ってないテレビ



それだけでこんなに静かなんだ


こんなに外の音が聞こえるんだ



私が疲れて開けた缶ビールの音が


こんなに
胸にひびくんだ




家具も少なくて
テレビもなくて
冷蔵庫も空っぽで
食器棚もガラガラで


なんだか


わたし


幸せだ



なんにもないわけじゃないけど
少し不自由なくらいのこの暮らしは


なにもかも溢れていて

捨てなきゃいけない物に
囲まれて生きてる私より


ひろびろとしてサッパリしてて
すごく自由だ




私が電車を乗り継いで

わざわざ片付けにこなくても


もう息子は
生きていけるんだね



テレビのない部屋で
そんなことを考えてる


テレビ見て考えるより


ずっとずっと
わたしの考えたいことを考えてる



静かな夜



隣の部屋から


息子の優しい寝息が聞こえる




テレビのない 部屋





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さぁ


わたしもひとりで


歩き始めよう