桜 咲く道 - まるで少女みたいに恋をする
このブログを書いた時
真理ちゃんは
元気でした
一緒に女優さんを目指していた
わたしたちは
一緒にあきらめて
彼女は東京で優しい旦那さまと結婚して
わたしは故郷で好きな仕事について
お互い
第一希望は叶わなかったけれど
第二希望は叶ったよねー
なんて笑いながら
離れた町で普通にふつうに生きていた
彼女から連絡があったのは
まだ雪が降る二月
脳に大きな腫瘍ができてて手術するの
信じられなかった
そんな大変なことが
わたしの大切な友達に起きるなんて
なんで
なんで
なんで
なんで
わたしよりずっと真面目に誠実に生きている
彼女がなんで
そんな病気になるの?
でもその電話をもらった時は
わたしも体調を崩して入院してて
なんにもしてあげられなかった
彼女の優しい旦那様から
手術の経過をメールで知らされて
成功したよっ
と元気な写真も送られてきて
ホッとしたのに
腫瘍が取りきれていないんだ
この病気と一生つきあっていくんだって
でもうまく薬が効いたら
80歳まで生きられるんだよ
治らない病気と向き合いながら
彼女からの明るいメールが届いた三月
わたし
逢いにいくよ・・・
そして今日
わたしは列車に乗っている
葉桜が残っている東京の景色を眺めながら
列車は彼女が住む街へ向かう
出逢ったのは高校一年生
あのとき真理ちゃん
ローリングストーンズが大好きで
追っかけの時演劇部の稽古さぼって
先輩にものすごく怒られてたよね
わたしはわたしで遊び歩いて
一度部活をやめたのに
声優になるんだって言い出して
急に再入部して
みんなに呆れられたよね
高校卒業して
一緒に暮らして
別々に暮らすようになっても
いっつも仲良しで
泣いたり怒ったり忙しいわたしを
いつも慰めたり励ましたり
時々ため息つかれたり
真理ちゃん
もうすぐ着くよ
わたしたち
もういつ終わっても不思議じゃないくらい
年をかさねた
でも
いつまでも生きててもいいくらい
まだまだやりたいことがある
病気なんて
病気なんかに
あなたは負けない
真理ちゃんの大好きな白い恋人をかかえて
駅に降りたわたしの肩に
桜の花びらが
舞い降りた
わたしの街に
あなたが生まれた街に
これから桜は
満開になる
なんにもなくてもいいでしょ
朝起きて
小雨の中買い物へ行った
もう春
まだ冬
の境い目の街を歩く
なんでもある街の中を
なんにもないわたしが歩く
なんにもない
なんにもない
それって
恥ずかしいのかな
パンと
キャベツ
牛乳
特売のシュークリーム
千円札を出して
いくつかの小銭をもらって
なんにもないわたしが
買い物の袋を下げて街を歩く
わたしにも雨は降る
わたしにも空は拡がる
わたしにも風は寄り添う
わたしにも・・・
あなたは何だってあるじゃない
そう見える友達も
なんにもないかもしれないよ
わたしには何にもない
そう思ってる自分にも
なんでもあるかもしれないよ
なんにもなくてもいい
なんでもあってもいい
そんなことは
ちっぽけなこと
大切なのは
なんにもないと
感じているこの瞬間さえ
わたしは生きてるってこと
パンを焼いて
牛乳を温めて
美味しい朝ごはんを食べられるってこと
今日手に入れたもの
パン
キャベツ
牛乳
特売のシュークリーム
そして
今日のわたしの いのち
なんにもなくても
ほら
世界はここに在るでしょ
今日はおとなしくしていましょう
やっと
風邪が治った週末
あなたと出かけた
まだお酒も飲めないし
まだ本調子じゃないけれど
いっぱい笑って
いっぱい喋って
あなたもご機嫌だった
でも
やっぱり
疲れた
遅くに家に帰って
一日ストーブがついていなかった部屋の
冷たい空気に震えながら眠りについた
眼が覚めたら
青空で
暖かくて
まるで春みたいな陽気
昨日までの疲れが嘘みたいに消えていたから
思わずあなたに電話した
今日も
どこか行く?
ワクワクした
ドキドキした
見たかった映画
行きたかったあの場所
今日のスケジュールを考えて
急にときめいた
でも
あなたからの返事は
今日はおとなしくしてましょ
うん
そうだよね
ううん
そうじゃない
どこかへ行きたかったわけじゃない
あなたと
一緒にいたかっただけ
あなたがわたしを気づかってくれてるのは
わかってるけど
しーんと
寂しい・・・
夕方
あなたからラインがきた
調子どう?
夜ごはんくらい食べに行く?
ほんの一瞬嬉しかったけれど
すぐに返事を返した
今日はおとなしくしてる
返信した途端涙が溢れた
おとなしくしてるよ
おとなしくしてたいよ
でも
寂しいよ
拗ねた涙が
季節外れの雨みたいに
はらはらとこぼれ落ちていく
寂しさを感じられるほど
わたし
元気になってきたのね
2019~新年のご挨拶~
寂しい時は
そっと寂しさと寄り添えばいい
悲しい時は
しっかり
その悲しみにひたればいい
悔しい時は
悔しい自分を認めればいい
怒りが湧いた時は
怒りの炎をちゃんと燃やしつくせばいい
不安な時は
不安の中に飛び込めばいい
そして
いま
心地好いことで遊べばいい
子供みたいに
夢中になって
あとは
全部
任せればいい
宇宙は
奇跡をあっ!という間に起こせるのだから
宇宙は
あなたを
誰よりも愛しているのだから
お正月の空
元旦から白い息を吐きながら
空を見上げた時に
この一年は
今までのわたしではいられないな
と
胸がきゅーっんとなりました
それは
嬉しいような
切ないような
少し怖いような
そんな気持ちでした
その日から
どんなに楽しい事があっても
わたしはつまらなくなりました
今までワクワクした事が
まるで色褪せてどうでも良くなりました
体が重たくて
心の中には押し込めてきた感情が
溢れだすようになりました
苦しい
苦しい
外に何かがあるのではなくて
中に苦しさのタネがあるのです
わたしは初めて
愛されないことも
お金が足りないことも
病気も
人間関係も
すべての悩みは
中にあることを確信しました
だったら
中を
綺麗にすればいいよね
わたしの中は
グチャグチャのドロドロです
目を瞑っていては綺麗にしてあげられない
とても辛いお掃除が始まりました
見て
見つめて
寄り添って
感じきっていく
今年が始まってから一週間
それだけを繰り返しました
不思議ね
わたしが怒りを感じてる時は
怒ってる人がわたしの横に現れます
わたしが寂しくてたまらない時は
ひとりなんだ
と感じさせる時間が
わたしの周りを包みます
そんな風に
自分の感情と現実をシンクロさせながら
少しずつ少しずつ
わたしの中は綺麗になっていく
不安でジタバタしていた心は
しーん
と
静かになっていく
そしたら
空は青くて
風は透き通って
世界は急に美しくなった
悩んでることはたくさんあるのに
そんなのどうでも良くて
ただ
ただ
今が愛しい
自分の気持ちをひとつも否定しないで
まるごと
まるごと受け入れる
わたしの一年が 始まりました
あけましておめでとうございます
今年も
このブログに込めたわたしの想いが
あなたの心に届きますように
寂しくなってもいい理由
大阪から帰ってくる友達のために
その日はあのお店に集まろうね
って約束していたの
なのに突然の大雪
友達が乗った飛行機は千歳じゃなくて
東京へ降りた
楽しい再会の夜は
突然一人ぽっちの夜に変わった
仕方ないよね
飛行機飛べなかったんだから
昨日作ったカレーを温めて
パンを焼いて
テレビをつけて
冷たいビールの缶を開けたけど
あんまり美味しくない
疲れてるのかな
テレビもつまんないし
音楽も聞きたい気分じゃないし
録画していたドラマを見始めたら
その間夢中になったけど
終わってしまったら急に空しくなった
カレーのお皿洗うのも
めんどくさいな
飲みかけのビールも
もういらない
もし雪が降らなかったら
今頃一緒に笑っていたのかな
大阪の話で盛り上がって
酔っぱらったわたしは気が大きくなって
大阪へ遊びに行く予定まで
決めたかもしれないね
カーテンを開けると
まだ
雪が降っていた
ねぇ
どうしてこんな日にきみは降るのかな
だって
寂しさを感じられたでしょ
雪がそう答えた気がした
たまには寂しくないと
みんなありがとうを忘れちゃう
毎日幸せばかりだったら
幸せってことを忘れちゃう
だから
たまには
寂しくてもいいんだ
カーテンをゆっくり閉めて
あたたかいお茶を飲んだら
そろそろ眠ろう
そうね
そうね
たまには
寂しくたっていいんだ
今度は
いつ逢えるかな
今日
寂しくなった分だけ
きっとその日は
あったかくなる
味わうHAPPY 2
わたしが二日酔いの次の日に
今度はあなたが二日酔いって
笑っちゃってごめんね
二日酔いのあなた
可愛いんだもん
お昼を一緒に食べようって約束したけど
食欲あんまり無さそうですね
あ
あれなら食べられるかも
あそこの玉子かけご飯
あなたの言葉に車を走らせた
どんどん道が広くなる
どんどん空が青くなる
窓を開けたら
海風の匂いがしてきた
いつも混んでるお店なのに
平日だからすぐ座れて
親子丼とか
ハンバーガーとか
他のメニューには目もくれずに
二人で玉子かけご飯
あったかいご飯と玉子が三個ずつ
いっぱいかき混ぜるあなたと
あんまり混ぜないわたし
二人で
いただきまーす
うん
うん
美味しいねー
違うお醤油を使ったから
取り替えっこしてひと口ずつ
うん
うん
美味しいねー
あなたの肩越しに海が光ってる
空にはひこうき雲
もう冬なのに
これから春になるみたいないいお天気
わたしの隣の席に座ってる赤ちゃんが
声あげて笑った
ほっぺには玉子かけご飯が
一粒ついてる
見て見て
かわいいね
あなたに言うと
あなたのほっぺにも
玉子かけご飯が一粒
ついてるわけ
ないよねー
そんな想像してニヤニヤしてる
今日のわたしはとっても元気
味わうHAPPY
今日は
白老で玉子かけご飯
ごちそうさまでした
味わうHAPPY 1
朝からわたしは二日酔い
でも旅に出た
とにかく何か食べなきゃ
具合い悪いまんまだけど
たどり着いた大きなスーパーの
レストラン街は人混みで
それだけでもう無理
スーパーを出てトボトボ歩いた
寒いなぁ
ちょっと先にお蕎麦やさんの看板
冷たい風に体を縮めながら
一歩一歩重たい足取りだけど
お蕎麦なら食べられそう…
扉を開けるとお昼時だから満員
すぐに店員さんが
何名さま?と聞いてくれる
一人です
答えながらカウンターの端を見つめると
サラリーマン風の男の人でいっぱい
あそこでお蕎麦を食べるのは嫌だな
と思った
小上がりへどうぞ
店員さんは襖を開けて
宴会に使う広い部屋に案内してくれた
だあれもいない
え?
ここ使っていいんですか?
お好きな席使ってください
ホッとして
のろのろとブーツを脱いで
マフラーを外して座った
あったかぁい
窓の外にチラチラ雪が降り始めてる
いらっしゃいませ
ありがとうございました
混んでいるお店のざわめきが聞こえてくる
でも誰もこの部屋には入ってこない
少ししてから
おしぼりとお水を店員さんが
持ってきてくれた
注文して
お水をひと口飲むと
また胸がムカムカした
飲み過ぎたもんなぁ
ぼんやり昨日のことを思い出す
一杯目のビールが美味しくて
話がはずんで
レモンサワー飲んで
シークワーサーサワーにして
またビールに戻して
あ
そのあたりから酔っ払って
あれでやめとけば良かったのに
もう一軒行っちゃったんだっけ
胸をさすりながら
そんなこと考えていたら
あったかいお蕎麦が運ばれてきた
おいしそ
ひと口おつゆを飲んでみた
ちょっと濃いめで
あーこれなら大丈夫かも
いつもならササッと食べてしまう
お蕎麦だけれど
ゆっくりゆっくり食べた
窓の外の雪と同じペースで
ゆっくりゆっくり食べた
体があったまってきて
うっすら汗をかく頃には
二日酔いが抜けてきて
昨日の後悔も抜けてきて
これから旅する街のことを思って
ふんわり幸せになる
きっとこのお店に来たくて
ここのお蕎麦を食べたくて
わたしは昨日飲み過ぎて
二日酔いになったのかもね
そんな都合の良いことを考えて
ひとりでニッコリしてみる
味わうHAPPY
今日は
山かけ蕎麦
ごちそうさまでした