また旅に出る日まで
ふたりの旅はやっぱり楽しくて
あなたのことが好きだと思う
大好きだ と思う
でも旅には必ず帰る日がやって来て
また
いつもの日常に戻っていく
あんなに綺麗な空も海も
二人で過ごした柔らかい時間も
まるで夢の中みたいに薄れて
ぼんやりしていくうちに
毎日は忙しくて
悩むこともあって
唇噛み締めたくなるような言葉を言われたり
うまくいかない事をなんとか乗り越えたり
ふぅーっ
と
溜息ついて立ち止まった時に
あなたからのラインに気がついた
もう返信しても間に合わない内容に
胸が痛くなる
でも
これも
幸せなんだ
毎日が旅で
毎日が優しい時間だったなら
あなたへの想いも
こんなに切なくないでしょう
小さな幸せや安心や
小さな苛立ちや寂しさを
ぜんぶぜんぶ まるごと受け取りながら
また
旅に出る日まで
わたし
綺麗に
生きていくよ
幸せのかたち
幸せって
なんにも悩みがなくて
好きなときに
好きなところに行けて
好きなものを
好きなだけ買えて
好きなひとに
好きって言われて
好きなだけ
好きなことをする
夢みたいね
そうなったらいいね
だけど
幸せって
もしかしたら
違う形もあるのかもよ
小雨が振りだした空の下で
ぱあーっと開いた傘が
春の桜みたいだったり
自転車で通りすぎた男の子が
小さかった頃の息子にそっくりだったり
地下鉄でいちばん端の席に座れたり
なんでもない毎日が
今日も繰り返されていく
そんな幸せの形で創られている
わたしの世界
今日の雲は
羽衣みたいに
わたしを包んでく
うまくいかないまんま
大人になると
うまくいかないことがあっても
平気な振りしていませんか?
わたしは
先週 仕事でミスをして
めちゃめちゃ落ち込みました
落ち込んで何にも出来なくなって
友達に大切なメールを送り忘れて
友達にも嫌われそうです
悲しい気持ちを慰めてほしいのに
あなたは忙しくて
まったく
逢えない…
泣きそうな気持ちになりながら
ひとりで
うまくいかないことを見つめてる
ね
でもね
それがきっとベストなの
うまくいかないことって
うまくいってたら
うまくいかなくなっちゃうから
うまくいかないの
仕事でうまくいってたら
きっと
こんなに今練習しなかっただろうし
友達にサッサとメールしてたら
友達の気持ち考えなかっただろうし
あなたに毎日逢えてたら
まぁいいや
って
ちゃんと落ち込むことも出来なかった
うまくいかないことを
うまくいってるんだ
って
誤魔化すんじゃなくて
うまくいかないことまるごと
これでよかったんだ
って愛してあげよう
うまくいってもいかなくても
わたしは他の誰にもなれないし
他の誰にもなりたくない
うまくいかないまんま
わたしはわたしらしく
歩こう
ね
道は
ずっと 続いてる
日本晴れ の 空
日本晴れ
って最近あんまり言わないんだって
だから
若い子は知らないんだって
そんな会話で始まった朝
わたしの心は日本晴れでした
雲ひとつない空は
わたしの気分そのもので
今日はあなたとどこへ行こう
そればっかり考えていた
なのに
お昼から小雨が降りだして
風が吹き始めて
あなたからラインが返ってこなくって
夕方
やっと連絡がついたら
ごめんね
今日は仕事だから
あー
もっと早く連絡してください
日本晴れの心は
夜にはすっかりショボくれて
そのまんま眠った
まあるくなって眠った
朝
起きても
寂しいまんまだったけど
お掃除して
お洗濯して
仕事へ出かけて
帰り道
地下鉄に乗らないで
歩いた
モヤモヤしてる寂しさを吹き飛ばしたくて
歩いた
見上げたら
今日も
ううん
今日の方が
日本晴れ
立ち止まって
息を吸って
空を見上げて
わたしの心がどんなになっても
晴れる時は晴れるんだね
それなら
わたしの心がどんなでも
この空に
まかせよう
一人ぽっちで歩く道の上に拡がる
わたしを包み込むような
日本晴れの 空
寂しさが
溶けていく 空
予定は未定
え?10時間も眠った?
時計を見直した
昨日あんなに早く寝たのに
早く起きて書こうと思っていた原稿
午前中に送らなきゃいけない
うん
まず起きて歯を磨こう
ラジオをつけると
なぜかゆうみんのメドレーで
わたしの好きな懐かしい曲ばかり
かかってて
うん
これはお風呂だな
熱いお湯を溜めている間に
掃除機をかけて
お洗濯ものをたたんだ
家中に流れている ゆうみんと
一緒に歌うわたし
原稿
は
一行も書けてない
お風呂にゆっくり入って
髪を乾かして
ミルクたっぷりのカフェオレ作って
おおっ
こんなに美味しいカフェオレは
どこかのお店で出せるかもなんて
感動して味わうの
原稿
は
一行も書けてない
ゆうみんメドレーも終わった
カフェオレも半分になった
そろそろ
原稿・・・
ラインが
鳴った
少ししか時間がないけどお昼食べる?
あなたからのお誘い
原稿と あなたの笑顔が
頭の中でシーソーに乗る
すぐ用意するね
まだ間に合う
あなたも
原稿も
まだ間に合うの
急いで支度して
(お風呂に入ってて良かった)
メイクのノリも良くて
(たっぷり寝てて良かった)
家からすぐのレストランへ向かう
昨日は逢えなかったから
懐かしすぎてちょっとせつなくなる
急いでるあなたに
急いで食べるもの決めてよって言われたのに
わたしが決まってもまだ悩んでる
あなたが可愛い
台風が来るみたい
週末は晴れるかな
なんてことない会話が幸せなランチタイム
お天気の話だけでときめく人なんて
あなたしかいないから
サラダを取り替えっこして
デザートを半分こにして
行くね
って
手を振るあなたを見送って
ふぅー
あ
原稿原稿
ひとりぽっちになった席で
紅茶を飲みながら原稿原稿
12時
ジャスト
間に合いました
朝早く起きて書こうと思った原稿は
こんなにギリギリになってしまったけれど
予定は未定
未定の中には
いっぱい幸せが詰まってる
ね
のんびり行こう
また9月の風に吹かれて
車を飛ばして
あなたと海を見に来た
9月の光りはまだ眩しくて
9月の空はどこまでも蒼くて
また9月が来たね
あなたと出逢った9月
なんにも喋れなかった二人が
なんでも喋れるようになって
わがままも言えるようになって
甘えることも
断ることも出来るようになって
こうして
世界でいちばん居心地の良い人になる
手は繋がなくなったけど
心は繋がってるからね
なんて呟いてみるけど
風の音に消されて
きっとあなたに届かないでしょう
また
9月の風に吹かれて
あなたと歩く
海と空の真ん中
先に歩くあなたを追いかけて
その手を
心ごと握った