あまりに空が青い朝
昨日は
とても疲れて
とてもしんどくて
なんだか久しぶりに
ダメな自分をいっぱい見つけたの
もう若くないしな
息子にも迷惑ばっかりかけてるしな
朝お弁当が間に合わなくて
おにぎり一個だけ持たせた息子の
無愛想な後ろ姿を思い出す
唐揚げとウインナーと玉子焼きの
定番の息子が大好きなお弁当を
作って持たせてあげたかった
わたしって
こんなに生きてきたのに
なんにもできない
そんな気持ちで一日が過ぎていった
夜ご飯はおでんを作って
待っていたけれど
やっぱり息子は
無愛想
いつもは気にならない
彼の態度が
おまえなんてダメなんだよ
と責めているように見えてくる
そんな夜は
早く
寝よう
お布団の中で
ひたひた
わたしを責めたいわたしの気持ちを
感じながら
そーだよねぇ
そんな日もあるよねぇ
ひたひたひたひた感じながら
それでも
今日もわたしの
大切な一日
朝 目が覚めたら
青空だった
今朝のお弁当はいい感じ
今朝も息子は返事もしないけど
行ってらっしゃい
声をかけた彼の背中は
もう
わたしを責めていないよ
急いで仕事の支度をして
わたしも外へ飛び出すと
あぁ
なんて
なんて
青い 空
青い青い そら
満たされてる時
いろんなことがスムーズに進んで
なにもかもうまくいってる時
わたしは出来る!と自信に溢れている時
そんな時はもちろん幸せだけど
なんにもない
ダメなダメなわたしを見つけた時も
わたしの上に
拡がる空を見ていると
生きていて良かったと思う
生まれてきて良かったと思う
さぁ
今日も
わたしの一日が
始まる
ダメでも
無器用でも
なんにもなくても
わたしにも
今日はやって来る
あんなに辛かったのに 良い一日
昨日から嫌なことが続いて
わたしの振りかざした正義感は
見事にすかされた
え?
わたしが正しいって言ったよね?
だからその言葉を伝えた
なのに
まるで
知らん振り
まるくおさめたのね
まぁいーや
大人だし
大切な人じゃないし
まぁいーや
まぁ
いーや…
そんな気持ちのわたしは
誰にも大切にされない
わたしは
誤魔化さなくて良かったの
そんなのおかしい
って
あなたそう言いましたよね‼って
戦っても良かったの
まるくおさめようとしたのは
わたしもおんなじ
悲しい
自分を大切にしない日は
誰にも大切にされなくて
ひとりで
ぼんやりビールを飲んでる
あ
でも
そろそろ
息子が帰ってくるから
残りものばかりのおかずだけど
急いで用意した
落ち込んでも
イライラしてても
夜ご飯は
ある方がいいもんね
わたしがこんなにしょぼくれてるのに
いつも通りのきみ
納豆を山盛りご飯にかけて
テレビ見ながらもりもり食べてる
ぼんやりしすぎて
しょっぱくなったお肉も
ちょっと焦げたキャベツも
特売で買った安っぽいソーセージも
ぜんぶぜんぶ
空っぽになるまで食べてくれて
それを見てるわたしは
なんだか
もりもり食べてる君を見てるわたしは
なんだか
もりもり元気が出てきた
昨日からしょぼくれてた
今日もずっと イラついていた
だけど
良い
一日に
なったね
なんでもない
毎日おんなじの
君を見てると
どうしてだろう
なんだか全ては優しくて
今日も
やっぱり
良い 一日
笑おう
歌おう
今日と言う日に
ありがとう
誰かの笑顔の理由になる
お昼ご飯食べよう
めずらしくわたしから誘ってみたのは
この前友達と食べたお店のランチが
美味しくて
あなたに食べてもらいたかったから
外に出ると
ひどい土砂降り
でも
わくわくしてあなたの待つお店へ急いだ
わくわく
していたのに
あなた
ご機嫌が悪い
寝不足なの?
うん
疲れてるの?
うん
あなたを元気にしてあげたくて
楽しい話を繰り広げてみたけれど
返事も
しない…
わくわく
半分に減っちゃった
美味しいランチが運ばれてきたけれど
あなたの好きな味じゃなかったみたいで
ご機嫌はますます悪くなる
わたしのわくわくも
ゼロになっちゃった
美味しいねー
そう言って喜ぶあなたの笑顔が見たかったの
美味しいでしょー
そう言って喜ぶわたしの笑顔を
見てほしかったの
思い浮かべていた時間は
何ひとつ思い通りにはならなかったけど
土砂降りの中
仕事に戻るあなたの車を見送りながら
浮かんだ言葉を心に刻む
誰かの笑顔の理由になる
そんなわたしでいたいんだ
わたしはわたしが喜ぶよりも
誰かの笑顔の理由になりたい
そうやって今日まで生きてきた
そうやって明日も生きていく
たとえ
笑顔になってもらえなくても
笑顔の理由になることを
わたしはきっとまた
探すのでしょう
晴れても
雨でも
曇りでも
わたしだけは
笑顔でいよう
行きたい場所はあなたを待っている
朝
テレビを見ていたら
エーゲ海の話をしていて
エーゲ海なんて
一生見ることないんだろうなぁ
そう思った
そう思った時点で
わたしの世界から
エーゲ海は
消えた…
行けない場所は存在しない場所
だって
行く事はないのだから
わたしの世界には存在しない場所
けれど
わたしが
エーゲ海に行きたいと思って
飛行機を予約して
お金を払って
お金がなければ
誰かに頼んで
すがりついても
エーゲ海に行きたい行きたい行きたい
と叫び続ければ
わたしは
エーゲ海に
行ける
その時初めて
エーゲ海は
わたしの世界に
ちゃんと
存在するのです
行きたい場所はどこですか
行ける場所ではなくて
行きたい場所
本当に本当に行きたい場所なら
必ず必ず行けるのです
その場所は
あなたを
待っている
行こう
飛ぼう
あなたの世界は
あなたを待っている
思い通りにいかない最高
旅に出て
一日が暮れる頃
懐かしい街に着いた
あんなに忙しかった毎日をくぐり抜けて
やっと来たんだもの
楽しまなくちゃ
美味しい泡盛と
フルーツカクテル
お祭りの人混み
ここでしか見られない青い
海
なのに
心がときめかないの
じーっと
うずくまってるの
あんなに楽しみにしていた旅
曇りだった天気予報は
びっくりするくらいの青空で
久しぶりに訪ねたお店のひと達は
信じられないくらい
優しかったのに
わたしだけが
固まっている
息を吸って
立ち止まった
頑張らないで
ホテルでお昼寝した
無理に出かけるのを止めて
ホテルでコンビニのご飯を食べた
いま
この街に来たから
勿体ないから
あそこもここも行かなくちゃ
その気持ちの奥に隠れてる
いま
眠たい
いま
休みたい
いま
ぼーっとしたい
その気持ちを
大切にした
思い通りにいきすぎる街で
思い通りにいかない気持ちを
抱きしめながら
少しずつ
少しずつ
わたしの心が
色づいていく
なんでもない小さな花が
あちこちに咲いている
何回も聴いたはずの島唄が
こんなにこんなに
心に
沁みる
帰る日までずっと青空が続いた街
思い通りにいかないわたしの心を
大切に大切にしてあげたから
わたしの心も
すっかり
青空
またね
沖縄
またやーたい
沖縄
~7度目の沖縄の旅を終えて~
今 に 生きる
なんか
ミサイル飛んでくるなんて
冗談じゃないよ
こんなに綺麗なわたしの街に
ミサイル飛んでくるなんて止めてよ
Jアラートが鳴り響く朝
お弁当を作りながら
もしかして死んじゃうのかなぁ
と思った
あなたにラインしてみたけど
既読にならない
息子も起きてこない
みんな平和に寝てるのね
あと何秒でミサイルどこかに落ちるのかなぁ
もし
もしも
あと何秒かで死んじゃうのなら
楽しみにしていた旅に行けないよね
毎年行くコンサートも
年末 予約したホテルも
全部 無理
あなたとのワクワクする予定も
息子の未来も
全部 なくなって
わたしが心配していたあの事も
年を重ねていく不安も
全部
消える・・・
悩んでいた事はいつもいつもいつも
今
じゃない
明日のこと
これからのこと
まだまだ先のこと
でも
それって
もうすぐいなくなるなら
悩みじゃないんだ
あと何秒でいなくなるなら
なんにも出来ないかもしれないけれど
せめてあと何時間か
生きられるなら
大好きな人に大好きって言おう
恥ずかしがってないで
ありがとうって言おう
美味しいもの食べよう
太るから なんて我慢していたもの
ちゃんと食べよう
掃除も洗濯も放り投げて
好きなことしよう
今すぐしよう
わたしの悩みは
そんなちっぽけなものだったのね
Jアラートがまた鳴り響いて
ミサイルが通過したことを告げる
おはよう
あなたからラインが来る
おはよう
息子がくしゃくしゃの頭で起きてくる
いつも通りの朝が始まる
でも
わたしだけが
少し
違う
今に生きよう
今だけ
に
生きよう
つけっぱなしにしているテレビを消して
好きな音楽をかけた
お弁当作るのを一度止めて
美味しい珈琲を淹れた
今
わたしを
幸せにしてあげよう
この世界を
味わうために
わたしは
生まれてきたのだから