思い通りにいかない最高
旅に出て
一日が暮れる頃
懐かしい街に着いた
あんなに忙しかった毎日をくぐり抜けて
やっと来たんだもの
楽しまなくちゃ
美味しい泡盛と
フルーツカクテル
お祭りの人混み
ここでしか見られない青い
海
なのに
心がときめかないの
じーっと
うずくまってるの
あんなに楽しみにしていた旅
曇りだった天気予報は
びっくりするくらいの青空で
久しぶりに訪ねたお店のひと達は
信じられないくらい
優しかったのに
わたしだけが
固まっている
息を吸って
立ち止まった
頑張らないで
ホテルでお昼寝した
無理に出かけるのを止めて
ホテルでコンビニのご飯を食べた
いま
この街に来たから
勿体ないから
あそこもここも行かなくちゃ
その気持ちの奥に隠れてる
いま
眠たい
いま
休みたい
いま
ぼーっとしたい
その気持ちを
大切にした
思い通りにいきすぎる街で
思い通りにいかない気持ちを
抱きしめながら
少しずつ
少しずつ
わたしの心が
色づいていく
なんでもない小さな花が
あちこちに咲いている
何回も聴いたはずの島唄が
こんなにこんなに
心に
沁みる
帰る日までずっと青空が続いた街
思い通りにいかないわたしの心を
大切に大切にしてあげたから
わたしの心も
すっかり
青空
またね
沖縄
またやーたい
沖縄
~7度目の沖縄の旅を終えて~
今 に 生きる
なんか
ミサイル飛んでくるなんて
冗談じゃないよ
こんなに綺麗なわたしの街に
ミサイル飛んでくるなんて止めてよ
Jアラートが鳴り響く朝
お弁当を作りながら
もしかして死んじゃうのかなぁ
と思った
あなたにラインしてみたけど
既読にならない
息子も起きてこない
みんな平和に寝てるのね
あと何秒でミサイルどこかに落ちるのかなぁ
もし
もしも
あと何秒かで死んじゃうのなら
楽しみにしていた旅に行けないよね
毎年行くコンサートも
年末 予約したホテルも
全部 無理
あなたとのワクワクする予定も
息子の未来も
全部 なくなって
わたしが心配していたあの事も
年を重ねていく不安も
全部
消える・・・
悩んでいた事はいつもいつもいつも
今
じゃない
明日のこと
これからのこと
まだまだ先のこと
でも
それって
もうすぐいなくなるなら
悩みじゃないんだ
あと何秒でいなくなるなら
なんにも出来ないかもしれないけれど
せめてあと何時間か
生きられるなら
大好きな人に大好きって言おう
恥ずかしがってないで
ありがとうって言おう
美味しいもの食べよう
太るから なんて我慢していたもの
ちゃんと食べよう
掃除も洗濯も放り投げて
好きなことしよう
今すぐしよう
わたしの悩みは
そんなちっぽけなものだったのね
Jアラートがまた鳴り響いて
ミサイルが通過したことを告げる
おはよう
あなたからラインが来る
おはよう
息子がくしゃくしゃの頭で起きてくる
いつも通りの朝が始まる
でも
わたしだけが
少し
違う
今に生きよう
今だけ
に
生きよう
つけっぱなしにしているテレビを消して
好きな音楽をかけた
お弁当作るのを一度止めて
美味しい珈琲を淹れた
今
わたしを
幸せにしてあげよう
この世界を
味わうために
わたしは
生まれてきたのだから
虹が 生まれた
雨上がり
曇り空
また雨が降るかなぁ
なんだか足が少しだけ痛いのは
昨日歩きすぎたのかな
迷ったけれど
やっぱり
今日も歩こう
いつもなら15分で歩く道を
30分かけて
ゆっくり ゆっくり歩くの
サイクリングロードを抜けて
木の実の愛らしさに
立ち止まって
小さな川のせせらぎに
癒されて
朝の中で
生まれ変わっていく
歩きながら
生まれ変わっていくわたし
嫌なことも
不安なことも
どこかに消えていく朝の道
わたしの中に
虹が
生まれた
幸せは
いつも
わたしの中にある
言葉の後ろ
大好きな人に言われた
うるさい
悲しいね
こんなにあなたを励まそうとしてるのに
でも待って
その言葉の後ろに隠れている気持ち
知っていますか
もっと自分のために生きていいよ
そんなに気を使って喋らなくていいよ
そうなの?
息子に怒鳴られた
ご飯もう作らなくていーから‼
悔しいね
こんなに毎日頑張っていたのに
でも待って
その言葉の後ろに隠れている気持ち
わかりますか?
もう自分のためだけに生きていいよ
そんなに人のために頑張らなくていいよ
そうなの?
いつも勝手に思い込んでしまう
嫌われてる
って
怒られた
って
あの時も
お父さん怒っていたんじゃなくて
わたしを心配していたのね
あの時も
お母さんわたしを嫌いになったんじゃなくて
涙見られたくなかったのね
言葉をそのまま受け止めると
わからないことがきっとある
どんな言葉を聞きたいですか
きっと誰もが
言葉の後ろに
あなたへの愛が溢れてる
見えないけれど
掴めないけれど
言葉の後ろに隠れている
優しい想いを
受け止めて
オールをを自分の手に取り戻そう
まだ夢を見ていた頃は
なんにでもなれると思った
叶わないものはなくて
わたしの明日は輝いていた
今も夢を追いかけてるつもりでいたけれど
どこかで
制限していたの
もう若くはないし
使えるお金は決まっているし
失いたくないものはいっぱいあるし
今のままでも
いいじゃない
毎月行くあの街
春と秋に旅する いつか住みたい島
仕事は大好きで
まわりの人はみんな優しい
愛してる人がいて
愛されてるわたしがいる
これ以上
なにを
望むの?
わたし
後悔したくない
このままこのまま
幸せでいたいのに
このままこのままだと
後悔しそう
もっと
何かに
なりたい
もっと
輝いてる
わたしが
どこかに
いるはず
オールを握っているつもりで
いつのまにか手を放して
同じ場所をぐるぐる回っていたのは
わたし
人生のオールを自分の手に取り戻そう
本当に行きたい場所を目指していこう
それはただ
夢を取り戻すだけ
若さも
お金も
いまの自分の制限を越えて
なんにでもなれる
どこへでも行ける
そんな自分を
思い出すだけ
新しい船出が
始まる 朝
息をするようにあなたといる
この景色
見たことがある
そう
あれは
まだ雪が残っていた三月
あなたと見たんだ
あの時わたしは幸せでした
寒いのに心は暖かくて
二人でいっぱい笑った
今日のわたしは
嫌なことがあって
不安でいたたまれなくて
でも
あなたにそれを見せないで
笑った
ふり
あなた
気がついているのかしら
わたしにたくさんの景色を見せるため
車を走らせてくれた
青い青い海も
沈んでゆく太陽も
暮れてゆく街並みも
綺麗で
綺麗で
綺麗で
綺麗で
もっと
寂しくなった
息をするようにあたりまえに
あなたといるけれど
一緒の場所に帰ることはない
もしおんなじ部屋に帰るとしたら
こんなに寂しくならないでしょう
そして
もしおんなじ部屋に帰るとしたら
息をするよりもあたりまえになって
あなた
わたしを大切にしなくなるのでしょう
聞いてみたい言葉を抑えて
流れてくる曲を歌った
あなたが口笛を吹いて
それに合わせてくれる
もう少し ゆっくり走って
まだ
あなたと一緒にいたい
息をするように
あたりまえに
涙がにじんで
車の窓の外がぼやけても
あなたの口笛に合わせて
わたしは歌うのを
止めなかった