息をするようにあなたといる
この景色
見たことがある
そう
あれは
まだ雪が残っていた三月
あなたと見たんだ
あの時わたしは幸せでした
寒いのに心は暖かくて
二人でいっぱい笑った
今日のわたしは
嫌なことがあって
不安でいたたまれなくて
でも
あなたにそれを見せないで
笑った
ふり
あなた
気がついているのかしら
わたしにたくさんの景色を見せるため
車を走らせてくれた
青い青い海も
沈んでゆく太陽も
暮れてゆく街並みも
綺麗で
綺麗で
綺麗で
綺麗で
もっと
寂しくなった
息をするようにあたりまえに
あなたといるけれど
一緒の場所に帰ることはない
もしおんなじ部屋に帰るとしたら
こんなに寂しくならないでしょう
そして
もしおんなじ部屋に帰るとしたら
息をするよりもあたりまえになって
あなた
わたしを大切にしなくなるのでしょう
聞いてみたい言葉を抑えて
流れてくる曲を歌った
あなたが口笛を吹いて
それに合わせてくれる
もう少し ゆっくり走って
まだ
あなたと一緒にいたい
息をするように
あたりまえに
涙がにじんで
車の窓の外がぼやけても
あなたの口笛に合わせて
わたしは歌うのを
止めなかった
なにもかも寂しい時は
わたしは今日からお休み
あなたはずっとずっと仕事
仕方ないってわかっているのに
なにもかもが
寂しい
あなたの笑顔を見られないことも
あなたの声を聞けないことも
あなたと手を繋げないことも
ひとりでテレビを見ることも
ひとりでご飯を食べることも
ひとりでぼんやりすることも
スタバでラテを飲んでも
友達とお喋りしてても
綺麗にメイクしても
お気にいりのCDをかけても
夕方の空も
夏の終わりの風も
ひとつひとつ灯りがついていく街並みも
しーんと静かな夜も
なにもかも
寂しい時は
ただ
その寂しさの中で揺れてみる
お母さんに抱っこされた子供みたいに
おやすみ
わたし
おやすみ
寂しさ
明日の朝になったら
寂しさを
もう寂しくさせない
わたしになっているかしら
寂しさだって
感じてあげなければ
寂しいんだ
八月は緑の森の中
ついこの前始まった夏が
静かに終わっていく
毎日子供みたいに遊んだ
旅にも出かけた
いっぱいはしゃいだ
いっぱい笑った
八月
いろんな事があったのだけれど
思い出すとすべて遠くて
むかし見た映画のワンシーンみたいに
はかなげに甦るだけ
あなたと歩いたあの道は
まだ
世界に在るのだろうか
そんな不思議な感覚が
胸いっぱいに広がる 八月
綺麗な綺麗な 夏 だった
八月は緑の森の中
わたしはそっと宝物を埋めて
街へ 還る
埋めた夏の思い出は
緑の森の木になって
いつかの夏にきっとまた
わたしのことを
呼ぶでしょう
今日もご機嫌
旅の空はいつも青空
ずっと言えなかった
こうしてほしい
を
あなたに伝えてみたら
全部叶えてくれた優しい旅
お気に入りのお店で
わたしの好きなものを食べて
あなたをほっといてお昼寝して
起きたらお風呂に入って
お部屋に戻ると
今度はあなたがお昼寝していて
わたしは一人でゆっくりビール
Mステなんて久しぶりに見ちゃったし
菅田将暉くんの後で笑ってた
森田剛くんがイイ男になったなぁ
って事にも気がついちゃったし
こういうの好き
二人でいるのに
わたしは自由自在
ひとりで自由じゃなくて
二人でいるのに
わたしは自由
こういうの
好き
でも
あなた
少し疲れてて
今朝から
ダウン
ホテルの朝ごはんも
わたし一人ぼっち
二人でいるのに
ひとりの自由を楽しんでいたけれど
あなたが元気じゃないと
急に寂しくなる
心細くなる
朝ごはんは大好きなものばかりなのに
いつもより
なんだか美味しくない
ふっ
と
思う
あなたがいてくれるだけで
わたしは自由
笑って
喋って
歌って
また笑って
たまには拗ねて怒って泣いて
また笑顔になる
あなたのそばで
わたしはいつも自由自在
だから
あなたが元気がない時も
わたしはそのまま自由でいいんだ
一緒になってしゅん としなくてもいいんだ
わたしの街に帰るために
休みながら運転してくれる
あなたの横顔を見つめて
今日もご機嫌なわたし
旅の空は
今日も青空
ゆっくり帰ろう
わたしの街へ
わたしたちの 出逢った街へ
同じ日の同じ街の違うわたし
去年の今日
初めて訪ねた街へ
今年の今日 同じ日に
また来ました
去年の風景から
今年の風景へ
お部屋が反対側なので
窓から見える景色も違って
去年は知らなかったお店で
美味しいピザを食べて
去年は写さなかった自分を
写してもらって
一年前の同じ日に
わたしはここへ来たけれど
一年前のわたしはもういない
一年前の同じ日に
あなたとここへ来たけれど
一年前のあなたも もういない
でも
一緒に
また
元気に
来られて嬉しいね
来年も来られるよね
さ来年も来られるよね
そう信じているけれど
いつか必ず
来られなくなる日は来るんだ
だから
いま
たくさんたくさん味わって
たくさんたくさん愛してあげよう
この街にいるわたしを
一年前に見た風景とは変わっても
いま見ている風景を
わたしの中に残していこう
来年また来た時に
その風景が変わっていたら
新しい風景を
わたしの中に残せばいいだけ
いつもいつもいつも
今 を 精一杯愛したい
同じ日の同じ街
戻らない時間
変わっていくわたし
その瞬間
わたしは
生きている
枯れるまで
綺麗に咲くんだ
雨の日にはレインコート
まるでバケツをひっくり返したような
雨
傘を差していても肩が濡れる
足元の水溜まりをよけながら
ゆっくり静かに歩くのに
靴はビシャビシャ
あーぁ
これから仕事に行くのに着替えなきゃ
ふと横を見ると
小さな男の子がはしゃいでる
黄色いレインコート
黄色い長靴
雨は
その子にとって空からのプレゼント
そうだよね
傘なんてほうり投げて
レインコート着て歌えばいいんだ
パンプスなんて脱ぎ捨てて
長靴履いて走ればいいんだ
いつから
雨の日には傘をさして
うつ向いて
歩くようになったの?
与えられたわたしの風景に
逆らわず溶け込んで
受け取ればいい
それだけで
いま足りないと思ってるものが
満たされていく
わかっているのに
わかっているけど
とにかく
仕事に行かなくちゃ
はしゃいだまま
お母さんに手を引かれ
通りすぎていく男の子を見つめながら
傘を握りしめて歩きだす夕暮れ
わたしは
大人に
なったんだ
雨が
早く 止みますように
世界はもっと鮮やかになる
おはよう
あなたからのメールで起こされた
早すぎる朝
雨があがって
空が明るくなり始めてる
もう 風は秋の香り
夏が通り過ぎていく
旅した空を見上げるとひこうき雲
どこまでも緑が拡がる風景の中で
ずっと感じていた
この夏を感じていた
綺麗な夏にしようと思ったの
今まででいちばん自分を大切にする
夏にしようと思ったの
だから
一瞬一瞬を見逃さないように
心に
焼きつけた
この夏
なんでこんなに胸が痛くなるほど
わたしは
世界に
愛されているんだろう
世界に愛されてることに
気づいた日から
世界はもっと
鮮やかになる
世界が鮮やかだと気づいた日から
わたしも
もっと
鮮やかになる